二月の星のうえ

テイルズが好きです。ほぼネタバレに配慮していない個人的な感想です。

ND2018の景色 -テイルズオブザステージ感想

2018年8~9月に公演された「テイルズ オブ ザ ステージ -ローレライの力を継ぐ者- EMOTIONAL ACT」の感想です。(かなり長いです。ネタバレしかない(原作等の内容含む))

はじめに

・見ながらメモとってたわけじゃないので、基本的にうろ覚えですし、聞き間違え・幻覚が多々あるかと思いますが広い気持ちで読んでいただければ嬉しいです。
・テイステの他にこういう舞台を見に行ったことないのでめちゃくちゃ素人です。
・テイステは2017年9月の「テイルズ オブ ザ ステージ -最後の預言(ラストスコア)-」、今年6月の「テイルズ オブ ザ ステージ -ローレライの力を継ぐ者- LIVE&THEATER at 横浜アリーナ-」、そしてZepp DiverCity公演を8月22日(初日)と25・26日(東京千秋楽)に観劇しました。

私にとって、テイルズオブジアビスはこの世で一番好きな作品です。
ゆえに昨年「アビス舞台化!」の報を聞いてから正直なところ「受け入れられるだろうか…?」と不安だったのですが、はじめて見てから一気に好きになってBlu-rayも買ったしハイタッチ会とかも行ったしツイッターでみんなの写真をふぁぼりまくる程にはめちゃくちゃファンになってしまいました。

何がよかったのかっていうと、キャストのみなさんがちゃんと「アビスのキャラ」だったんですよ。仕草や表情、走っているときのシルエット、武器さばき、声質(似てるというかもう同じじゃんっていう人もいる)まで再現というか現実に表現されてて、ほんとに「あ~~あのキャラだ……」って素直に思えた。2.5次元はもちろん普通の舞台もろくに見たことないからわかんないけど、もしかしたらそれくらい当然なのかもしれないけど、10年以上こじらせてるオタクが素直に楽しめたのだからきっと物凄い完成度だったんだと思います。テイステ見たあとはいつも、家に帰ってからも頭の中でずっと舞台のみんながしゃべったり踊ったり叫んだり動き回ってるんだよ。あそこのジェイドかっこよかったなーとか、ジェイドがガイに目配せしてて最高だったなーとか、あの時アッシュはなんであんなこと言ったのかなーとか、ぐえって転ぶアニスまじでアニスだよなー、イオン様とシンクは一人二役だったけど立ち方から喋り方までちゃんと違うし確かにあれはレプリカとは気付けないよなーとか、ずーっと考えてた。
原作の膨大なシナリオをたった数時間に落とし込むのだからもちろん拾い切れていない部分や設定が変わってるところもあるけど、ほ~そういう構成にするんだ!って普通に感心したし、こういう世界もあるって気持ちで見てたから「ここ違うやんけ」みたいな細かいつっこみとか全然考えなかったです。ただただ好きなキャラクターが現実で動き回ってるのが嬉しすぎて幸せすぎた。
舞台ならではの演出としてダンス、アクロバット、殺陣がたくさんあったのも本当に見ていて楽しかった。ジェイドのバク転、コークスクリューは何回見てもぎゃああああ!ってなったしティアもバク転したり前作よりパワーアップしててめちゃかっこよかった……。パーティメンバーと六神将入り乱れてのバトルとかはもうどこ見ればいいの~~目が足りない!って感じだったから日によって「今日はディスト見よう!」「今日は別の……いや今日もディスト見よう」「見納めだ~今日はディスト見よう!」って注目するところを変えたりして見る楽しさもあった(変えてない)。
また、脚本も、原作やアニメ、小説、漫画版などからエピソードを濃縮している感じでとてもよかったです。いろいろな媒体でのいろいろな場面を思い出したし、初心に戻ってまたゲームをいちからプレイしたくなりました。
アビスの新しい可能性を目の前で見ることができて、本当に幸せな時間でした。みんな生きてる……って思えた。同じ時間を、アビスのキャラクターと、今でもアビスが大好きなたくさんの人と共有できて、本当にかけがえのない思い出になりました。

ではでは、Zepp公演の真面目な感想・考察を書いて、最後に好きなシーンやキャラへの感想を書きます。

アッシュのものがたりとして

前作の「ラストスコア」が原作どおりルークが主人公の物語だったのに対し、今作はアッシュに焦点を当てた物語でした。主人公はアッシュで、幼少期から始まり、エルドラントでの凄絶な最期までのアッシュの苦悩や決断を中心としたお話になっていました。
概ね原作に沿ったアッシュ視点の内容でしたが、一応話の流れをざっと書きます。
※覚えてる限り。うろ覚え。途中飛んたり前後してます。。

・ヴァンに誘拐されたあとのこと。逃げ出した少年アッシュはバチカルの屋敷へ戻ろうとするが、門番に追い返される。自分の居場所はすでにレプリカに奪われていた
・少年アッシュは自分を必要としてくれるヴァンのもとで、過去を捨てアッシュの名で生きることを決意(少年と青年の姿が交差し「運命だろうと預言だろうと関係ねえ、全部ぶっ潰してやる!」と共に叫ぶ←めちゃくちゃカッコイイ)
・六神将の日常(字が読めず報告書を書けないアリエッタ、ヴァンに呼ばれているがアリエッタのことも放っておけず面倒を見るリグレット、シンクは「ボクは先に行くよ~」とそんな二人から逃げる。食堂でご飯を一緒に食べてくれたお礼に、改造したトクナガをアニスに贈るディスト。タコやニンジンがいまだに苦手で食べられないアッシュをからかうヴァン)
・六神将のターン!!!(二つ名入りの映像を背景に一人ずつ踊ったり殺陣、ポーズとる。みんなめっちゃくちゃカッコイイ)
・一方……ルークとティアがバチカルで斬り合い、屋敷の外に飛ばされる
・パーティメンバーとイオンのターン(チーグルの森~ガイ様華麗に参上、ナタリア合流が一気に。ルークらが順番に登場して、お客さんから名前を呼んでもらう。初日はキャラたちの名前を呼ぶ演出はなかったので、公演重ねる中でブラッシュアップされたぽい)
・漆黒の翼のサーカス公演
・アクゼリュス崩落
・アッシュの嘆き(自分が信じていたのは嘘の理想だった、ヴァンは自分を必要だと言ったが都合よく利用したいだけだったと思い知り、激しく感情をあらわにする)
・ルークがレプリカであると暴露
・ワイヨン鏡窟、ジェイドの回想(ホド崩落時、研究所時代のジェイドとサフィール)
・ルーク断髪。待っててくれているガイ
・アブソーブゲートでシンク・ヴァンを倒すも、ヴァンらはローレライを取り込み生存する
・ローレライの鍵を受けとる
・偽王女疑惑のナタリア。亡き妻と奪われた娘に想いを馳せるラルゴ、それを利用する趣味の悪いモース(芝居がめちゃくちゃ渋くて良い)。バチカル市民としてペンライトを振る我々
・ナタリアとアッシュの約束
・エルドラント(六神将それぞれと対決。アッシュ対ルーク。アッシュの死。ヴァンを討つ。ローレライ解放)
・2年後のタタル渓谷にて

だいたいこんな感じで、オリジナルの場面もいれながら、原作でアッシュが関わる部分がメインで取り上げられていました。
原作のアッシュは感情を表に出す場面が少なく、アッシュ視点で操作できるのも少しの間だけなので、彼がいつどこで何をして何を考えていたのかはよくわからない部分も多い。外伝漫画とか小説で補完されているところもありますが、私の印象としては、この舞台でのアッシュが、今まで見たなかで一番エモーショナルなアッシュになっていました。
とくにヴァンに対しての感情の振り幅が大きく、「居場所がなくなった自分に新しい場所と名前をくれた、剣を教えてくれた、自分が必要だと言ってくれた」とどこか依存しているところから、アクゼリュス崩落後のモノローグへの落差がものすごかった。
「預言に縛られたこの世界を預言から解放する」というヴァンの理想を自分なら支えられると自負し、彼に必要とされていることを誇りに思っていた(たぶんそれが唯一のアッシュの希望だった)のに、作戦から外されて「俺が必要だって言ったのは嘘だったのか?」と不安になっていたところで、ヴァンはアクゼリュスを崩落させる。崩落後、信じていた彼の理想がそもそも嘘、自分への想いも嘘だったとわかって「また騙された!七年前から今日までのことはすべて嘘!」と絶望しながら叫ぶ。アッシュの周りには、感情に呼応するように踊るダンサーがいて、すごく見応えのあるシーンになっていました。ほんとあんなにぐちゃぐちゃに感情吐き出すアッシュは初めてだったと思う。

アッシュの居場所

この舞台のキーワードとして、原作以上に「アッシュの居場所」というものに焦点があてられていたように思います。
アッシュはもといた場所からレプリカの存在によってはじきだされている。単純な構造としてはそうだけど、でもそれだけじゃなくアッシュにはほかの居場所も確かにあった、という面が描かれていました。
ひとつには、ヴァンの弟子として。ヴァンに「ここが、お前の場所だ」とはっきり言われて「俺の……場所……」と反芻する、動揺したというかあるいは嬉しくてうまく飲み込めなかったような、そういうシーンもありました。
そしてもうひとつが六神将としての居場所だった。
そのことがとくにわかるのはダアトでの六神将の日常の場面です。アリエッタが困ってたら「どうしたの」ってふつうに声かけるシンクとか。アリエッタの面倒見るリグレットの、厳しい教官とは違う普通のお姉ちゃんみたいな一面とか。ニンジン、タコ食べられるようになったか?ときかれて無言で首をふるアッシュとそれをふつうに声出して笑う六神将のみんなとか。そういうシーンを見て「あ、アッシュの居場所ってちゃんとあったんだな」って思えた。
任務から外されて不審に思ったアッシュがアクゼリュスに来ちゃったとき、ほかの六神将全員で彼を行かせまいと立ちはだかるんだけど、「ヴァンの命令だから」「それぞれの目的のためにアッシュが必要だから」という理由はあれど、あそこでラルゴが「お前の居場所はここだ」って言ったの、引き留めるためだけじゃなく、かなり本心だったと思うんだよね。
六神将は互いの過去を知る必要はない。そういう関係だったし、目的だって結局はばらばらだったけど、ダアトで笑いあった時間があったのは確かで、それだけで居場所と呼ぶには十分だったと思います。

だから、アッシュの死にも彼らが寄り添うようにしてあったんだと舞台を何度か見て納得しました。
文字で書くとうまく表現できないけど、こんな感じでした↓

エルドラントにて。アッシュは四方から刺されつつも最後の力で兵士を蹴散らすと、「あとは頼む」と呟き、剣にもたれ動かなくなる。するとどこからか「ルーク」と自分を呼ぶ幼いナタリアの声が聞こえ、アッシュは立ち上がる。幼いナタリアはアッシュをみつけると、白い花で編んだ花冠を渡す。アッシュは心から嬉しそうに受けとる。ここで舞台装置である可動式の衝立(?)がくるっと裏返り、シンク、リグレット、アリエッタ、ラルゴが現れる。笑顔で花冠を手にするアッシュの周りを、彼らはぐるりとまわり、アッシュを覆い隠す。その一瞬ののち再びあらわれたアッシュは、ナタリアの声が聞こえる前の、剣にもたれて死んでいる姿。だがその剣の柄には白い花冠がかかっていた。

伝わって~~~~~~ほんとここ最高すぎてみんな泣いてた。

アクゼリュス以降アッシュは六神将から離れるけど、まあその前も決して仲良くなんかなかったんだけど、なんだかんだいっても彼らがここまで一緒にきたのは本当だったから、最後までちゃんと連れていくぞって感じだったのかなと思った。
アッシュの死に六神将が寄り添うパターンなんて、今までの小説とか漫画とかいろいろ含めても、ほんとに初めてだったんじゃないかな?だからすごく衝撃的で、でもこういう世界も確かにあったはずだと、あらためて気付かされました。
ところでここで出てくるのは4人だけでディストは出てきません。4人はエルドラントでの戦闘で死んでいるんだけど、ディストだけいつものバカ生命力で死んでないんだよね笑というかジェイドは「さようなら、サフィール」と言っておきながらトドメまでは刺さなかったんだよね。テイステジェイドはなんだかんだディストに甘いよな~~~

さらにいうと、ヴァンや六神将から離れたあとのアッシュは原作どおり漆黒の翼を移動手段にしてはいるけれど、どこか独りよがりだし「アッシュはひとりで戦ってるつもりなんだな」という感じも原作と同じなんだけど、最後の報酬としてファブレ家の家紋が入ったペンダントを渡したとき「世話になったな、ノワール。……お前(ノワールのおともの団員)もな」ってすごく優しく言うアッシュがめちゃめちゃ最高で、「ルークがありがとうだって……!?」って言うアラミス湧水洞のガイみたいな感じで驚いて感動してしまいました。
だからね、漆黒の翼も、確かにアッシュの居場所だったんだと思いました。
ノワールなんかは原作以上にアッシュに入れ込んでる様子で「知ってたんだよ、あんたがもうすぐ死んじまうって……!」と嘆き、自分たちが拠点としている街に「希望の灰の街」という名前まで付けるんだけどそれもよかった。アビスの人々は、建造物(ルーク橋)や場所(ワイヨン鏡窟)とかに人の名前を付ける習慣があるのかな。ワイヨン鏡窟はともかく、ずっと先の未来まで残したいという想いが表れていていいよね。

ここまで、ヴァン、六神将、漆黒の翼がアッシュの居場所だって書いたけど、最後にもう一つ。彼の最初の居場所も、ナタリアがちゃんと守っていてくれたんだと思ったよ
アッシュは幼い頃に「いつか俺たちが大人になったらこの国を変えよう」と、ナタリアと約束をしました。そのとき、ナタリアからも「ではわたくしも、あなたに王の冠を差し上げる約束をしますわ。この国の王としてではありません。わたくしの王様として」と約束してもらう、という原作にはないオリジナルシーンが追加されていました。
なお、アッシュに「花冠を渡す」というイメージは、玲衣先生のコミカライズ版が初出で、その後アニメでも取り入れられたものだったと思います。当時の玲衣先生のブログで「花冠は初恋や王位の象徴というイメージ」と書かれていましたが、この舞台でもだいたい同じような役割だったと思う。
後述するけれど、ナタリアとのその二つの約束が、最後までアッシュを支えてたんだなって思いました。

さて、今回のテイステはアッシュの物語です。だからアッシュとナタリアのシーンはとくに原作より一歩踏み込んだものになっていました。
偽王女事件で自信をなくしているナタリアに「お前なら、出来る」と優しく言葉をかけたり、「約束、守ってくださいますの?」に対して「この戦いが終わったら、きっと」とめちゃくちゃ優しく言ったり(テイステのアッシュは優しいときの優しさがとにかくヤバい)、この二人はほんと見ていて幸せすぎたんだけど、とくに「本当は心のどこかで世界のことなんてどうでもいいと思っていた」「でもお前と会って変われた。お前のおかげなんだ」という台詞がとてもよかった。
原作でもそうだけど、彼らの幼い頃の約束は、アッシュがヴァンに誘拐されて過去を捨ててからは、アッシュにとっては叶えられない夢になっていた。でもナタリアは、ずっとその約束に恥じない生き方をしていた。
ナタリアが自分との約束を守ってくれていたこと、そんな彼女に「お前は約束を果たしたんだな」と言えたことが、アッシュにとって物凄い救いだったんじゃないかな、と改めて思いました。
だから「お前のおかげなんだ」なのかな。ナタリアが自分との約束を消さないでいてくれたから、自分もそこへ帰れるかもしれないって思えたという意味で。もう戻らないと思っていたけど、彼女が守ってくれた場所へ戻って、自分も約束を果たしたいと思えるようになったということなのかな。

崩落を始めたアクゼリュスで、アッシュが「何千という人間が……」「俺は市民を犠牲にしてまで生き残ろうとは思っちゃいねえ!」とか言うんだよね。これは原作にはなくて、外伝漫画に似た台詞があるんだけど、舞台のアッシュが言う「何千という人間が……」は原作ナタリアが発した言葉とまったく同じなんだよね。
「過去は捨てたつもりだったが、捨てられていなかった」と白状していたけど、アッシュってやっぱり心はナタリアと約束したときのまま、為政者というか、その頃の自分だけは捨てられなかったんだなって思った。でも「本当は心のどこかで世界のことなんてどうでもいいと思っていた」のも本心だったはずから、やっぱり彼を踏みとどまらせていたのはナタリアとの約束だったんだろうなって思う。

ヴァンは「ここが、お前の場所だ」と言い、ラルゴは「お前の居場所はここだ」と言います。どちらも、嘘や方便というだけではなかったと思う。漆黒の翼もアッシュが羽を休める場所になっていたし、ナタリアも帰る場所を守ってくれていた。アッシュの居場所はいろんなところにあったんじゃん、と思えた、そんな舞台でした。

ところで原作にあった「アッシュに冷たいガイ」という要素は舞台ではほぼなかったですよね。ガイがアッシュに一番冷たいのはユリアシティから外殻大地に戻るあたりだけどその辺すぐに離脱しちゃったから冷たくする場面がなかったのかもだけど。
というかガイがホド出身であることに起因するいざこざについてはこれまでの舞台でもほとんど触れられていないよね。
前作「ラストスコア」では、ガイはヴァンがホド出身だったことを知らず他人になってたし、6月の横浜公演ではアッシュとのやり取りで「お前があいつを選ぶのはわかってたさ」「ヴァン謡将から聞きました、ってか」があったから一応ヴァンと旧知らしい設定に戻したんだな?と思ったけど、今回はまた何もなかったから他人設定に戻ったのかなと思った。

エンディングは「彼」なのか?

アビスといえば、エンディングをどう表現するかで作品全体の様相が変わってくるといっても過言ではない。それくらい重要で解釈が分かれるところです。
前作「ラストスコア」では、タタル渓谷で帰ってきた「彼」は、後ろ向きの姿ではあったけど役者さん的にはルークの岩城さんで。原作とは違いティアが駆け寄って彼に手を伸ばしていた。だから前作はどちらかといえば「ルーク」だったのかなって思ってるんだけど、今回はみんなどう解釈したんだろう。

エンディングのシーンを文章にするとこんな感じでした。

エルドラントでの決戦から2年後。ルークの成人の儀の日、かつての仲間たちは式典には出席せず夜のタタル渓谷に集まっていた。ルークたちは、あの戦いからいまだに帰ってきてはいない……。
「そろそろ帰りましょう。夜の渓谷は危険です」とジェイドに促され、一行は渓谷を後にしようと歩き出す。そのとき強い風が吹き、足を止める。すると、いつの間にか、懐かしい姿がそこにあった。

「どうして……ここに……?」
「ここからなら、ホドを見渡せる。それに……「「約束してたからな」」

という……。最後の台詞の部分を詳しく書くと、「ここからならホドを見渡せる」はルークの声で、「それに……」から二人の声がかぶって聞こえてきました。そして「それに……」の瞬間に衝立が「彼」の姿を一瞬覆い隠し、その後別の「彼」に入れ替わりました。
普通に書くけど、役者さん的には、最初はルークで、次がアッシュでした。(髪の毛先の色がそうだった。)
つまりティアの「どうしてここに?」っていう問いかけに答えたのは「ルーク」で、「約束してたからな」と言ったのは「アッシュ」と「ルークの声」だった。厳密に言うとね。でもそこにいたのは確実に「一人」でした。
伝われ~~~~~これ以上は無理なので見た方誰かわかりやすく絵とかにしてください。
あとその場面で、ナタリアの足元に、どこからか風に吹かれて白い花冠が転がってくるんですよ。で、花冠が流れてきたあとにアッシュに入れ替わってた。
とりあえずこの演出だけ見ると、どうも「一人の身体に二人いる」ってことになるような。ひとつ分の陽だまりにふたつはちょっと入れなかったのに……!

このエンディングをどう解釈するかは観た人にお任せっていうスタンスなんだろうけど、私はいろいろ積み上げて答えを出したいタイプなので、この舞台でエンディングに至る要素がどう扱われていたかを振り返りたいと思います。

まず原作ではどうだったんだという話を一応する。人によっていろんな解釈あるのでこれが正解と言うつもりはないです。

「大爆発(ビッグ・バン)」という現象が終盤の彼らに起きていたのですが、これは完全同位体のみに起こる現象で、簡単に言えば、レプリカがオリジナルに取り込まれ消滅する現象です。音素振動数が同一の存在が自然界にあるのは異常な状態なため、オリジナルはレプリカから情報を回収しようとする。混ざり合う(コンタミネーション現象)ために、双方ともに音素乖離を開始。オリジナルは音素乖離で一度死に、レプリカがその音素を取り込む。その後にレプリカ自身の音素はオリジナルの音素によって弾き出され、その存在に取って代わられる。よってレプリカは死亡し、レプリカの記憶を持ったオリジナルが蘇生される、というもの。
この理論どおりのことが起きたとすると、「彼」は「ルークの記憶を持ったアッシュ」だったと思います。
でもアッシュは音素乖離で死んだのではなく神託の盾騎士団の兵に刺されて死にました。なら、大爆発は起こる前に止まったはずだけど、音素乖離で死ぬ前に他の原因がもとで死んだことが、大爆発にどのような影響を及ぼすのかは誰にもわからないのです。前例がないから。ディストは「何が原因で死んだにせよ、その時期なら、大爆発は始まっていたと思っていいでしょう」と言っていて、ジェイドは「始まっていなかったかもしれない」と自分の理論を否定するしかなかった。でもエルドラントでルークが使えるようになった「第二超振動」は、紛れもなくアッシュが与えてくれた力。つまりアッシュの音素は確実にルークに流れ込んで定着したと解釈してもいい。
つまり主にアッシュの死の時期に疑義があり、理論どおりのことが起きたかどうかは誰にもわからないという構造になっていました。

さて、舞台ではどうだったでしょうか。

実は「大爆発」という言葉は一度も使われていなかったと思うんですが、ディストがそれに近いことを話しています。
アッシュの体に不調が出たところに居合わせたディストは「完全同位体の音素乖離なんて希な現象」「コンタミネーション現象」とか言って大興奮。(この辺はたぶんアッシュの外伝漫画からかな)
ところでディストは「このままでは近いうちに全身から血を噴いて死にますよ」と言うんだけど、音素乖離での死に方ってイオンが消えるのと同じような感じだと思うし他媒体でも言及されていないので、これはテイステ特有の表現なのかなと思いました。確か6月の横浜のときも言ってた気がする。
もしもテイステでは「完全同位体のオリジナルは音素乖離ののち全身から血を噴いて死ぬ。以上」みたいな設定だったとしたら大爆発は起こらなくなってしまうんだけど、それを聞いたアッシュが「鮮血のアッシュにはいい皮肉じゃねえか」とか言うので、全身から血を噴いてうんぬんは、アッシュの最期が本当にそうなる(四方から剣を刺され血塗れで死ぬ)ことに繋げるための暗示的台詞という役割があったのかなとも思う。冒頭でも、少年期の記憶に交じって、なぜか、自分が四方から刺されて死ぬ瞬間を夢に見ている。アッシュの死の瞬間に物語の最高潮を重ねるために、シナリオ内で複数回「血塗れになって死ぬアッシュ」のイメージを登場させるという構成なのかもと思った。

話は戻るけど、ここでのディストの話だけだと、完全同位体のオリジナルの身体に音素乖離は起こっているけどその音素がレプリカに取り込まれるのかどうかはよくわからない。ので、次の場面も見ていきます。
アッシュたちがそれぞれローレライの鍵を受けとるシーン。空から宝珠と剣が降ってくる演出があり、アッシュはきちんと実物の剣を受け取るが、一方のルークは「何かが身体に入ったと感じた」演技があったけど、実物の宝珠は受け取らない、宝珠は分解されて身体に取り込まれてしまったというかなり原作に忠実な細かいシーンになっていた。
原作でルークが宝珠を受け取ったことに気付かなかったのは、コンタミネーションを起こしやすいレプリカだったということに起因してるんだけど、それに加えて大爆発に向けた音素乖離が始まっており他の音素と混ざりやすくなっていたというのもあると思う。つまりテイステのルークも大爆発に向けた音素乖離が始まっていた、ととれるのでは?
ちなみにその後とくに宝珠を探す描写はないし、エルドラントに突入するときになってアッシュが普通に「あいつに宝珠をもってこいと伝えてくれ」とか言ってただけなので、「ルークが宝珠を受け取ったことに気付かない描写」は決して必要ではなかったと思う。だからあえてこれを描写した意図は、「コンタミネーション現象」「ルークが他の物質と混ざりやすい」つまり大爆発の要素を表現するためだったのかも?

次はアッシュの死後の気になるシーン。
エルドラントでのヴァンとの戦いで、ルークは一度倒れて動かなくなります。けれどヴァンがティアに剣を振り下ろそうとした瞬間、死んだはずのアッシュの声が聞こえ、それに叱咤されルークが再び立ち上がる、という場面がありました。
また、最後にヴァンを吹き飛ばした技はルークの「ロスト・フォン・ドライブ」でしたが、これはアッシュの音素を受け取ったルークが発動できるようになった「第二超振動」の力を使った技です。
さらに、ローレライ解放時に「アッシュ、力を貸してくれ」とルークが言うと、プロジェクションマッピングで映し出されたアッシュの像がルークに向かって歩いていく、つまりルークの中に入っていくような描写がありました。(トークショーでも鈴木千尋さんが「アッシュが入っていくところ」と発言していた)
これらのことから、原作と同じく「アッシュの音素がルークに流れ込んでいる」らしいことは推察できる。レプリカの身体にオリジナルの音素が混じるのはまぎれもなく「大爆発」の兆候だから、やはりそれは始まっていたのかもなーと思う。

もう一つ気になるのが、ジェイドのことです。
ヴァンを倒したあと、崩壊を始めたエルドラントにルークだけを残し、他のメンバーは戻っていく場面。原作では一人ずつルークと会話していましたが、テイステではティアのみ「必ず帰ってきて。必ず。必ずよ。待ってるから。ずっと。ずっと……」「……うん、わかった。約束する。必ず帰るよ」という会話がありました。そしてティアが話終えるとすぐにジェイドが脱出を促すのですが、全員行ったのを確認したあとで、ジェイドはルークに目配せをして、大きく頷くという構成に変更されていました。
そして2年後のタタル渓谷。ジェイドは帰ってきた「彼」を見ると、鮮血のように輝くコンサートライトを取り出し(!?)空へ掲げる。そして「ローレライの力を継ぐ者……」と呟いて、幕が降りるというラストなのですが、あれジェイドどういう感情だったなのかな、といまだに悶々と考えています。
エルドラントでルークと別れるときジェイドが最後に残って目配せしたのは、原作とは違って「ルークは帰ってくる」って信じられていたからなのかな。崩壊に巻き込まれても無事でいて、と願っていただけだったんだろうか。
原作では「生きて帰って下さい。いえ……そう望みます」「ジェイド……無茶言うなよ……」「すみません」っていう、友人としては生きて帰ってきてほしいけど、研究者としてはそれが無理だということを誰よりも理解していた、ホントどうしようもなく切ない場面でした。大爆発現象はジェイド自身が纏めた理論です。研究においては失敗したことがない自分の理論を誰よりも否定するしかなく、「彼らなら覆してくれるかもしれない」という非現実的な奇跡に賭けるしかなかった。というところです。そういう感情だったら、目配せして「信じていますよ」的に頷くという行動はしないと思うんだよな。
テイステジェイドの最後の台詞「ローレライの力を継ぐ者……」にどんな意味があるのかなといろいろ考えたんだけど。直接的にローレライの力を継いだのはオリジナルのアッシュのはずですが、ローレライはアッシュとルークに同様に声や鍵を送ったりと区別している様子はないので、ルークも「ローレライの力を継ぐ者」と見てもいいかもしれない。しかしもうローレライは解放したんだからこの惑星には関係なくなったのだし、今更そんなこと言われてもって感じもする。だからほんとの意味で「力を継いだ=ローレライが最後にルークたちに何かを授けた」と解釈できるかも?と思いました。
つまりローレライのミラクルパワーで、アッシュを蘇生しルークの命も助けた、とか、身体は一つだけどその中にはどちらの人格も消えずにある、とか、「ルークの記憶をもったアッシュ」以外のことが起きたことを示唆してるのかな、と。

ただ、いろいろ書いたけど、結局のところ「彼」の「約束してたからな」という言葉が誰との約束なのかという話がいちばん重要だと思う
原作解釈での通説では二つあって、ひとつはルークが交わしたティアとの約束。「必ず帰ってきて」「うん、わかった。約束する。必ず帰るよ」
もうひとつはアッシュが交わしたルークとの約束「約束しろ!必ず生き残るって!でないと、ナタリアも俺も……悲しむからな!」「うるせぇっ!約束してやるから、とっとと行け!」
テイステではこれに加えて、もう一つの約束がありました。アッシュとナタリアが交わしたものです。
「あなたに王の冠を差し上げる約束をしますわ。この国の王としてではありません。わたくしの王様として」
うん。まさにこの約束を果たすために、「彼」が戻ってきたんだと私は思ったよ。死の間際の夢で少女時代のナタリアから花冠をもらってはいたけど、今度はちゃんと、大人になって自分との約束を果たしてくれたナタリアから受け取りたかったんじゃないのかな。そしてこれから一緒に国を変えていくんだ、約束の続きを俺も果たそう、っていう、そういう未来があったりするんじゃないかなと思いました。
とはいえ「彼」が「アッシュだった」とまでは言い切りたくないしルークの声も確かに聞こえたのだから、いろいろ書いたけどやっぱりどちらともいえないしどっちにも振り切りたくないなー答え出ない……

テイステでは、アビスのエンディングについて数あるなかの一つの解釈が新しく表現されていたように思います。それでもはっきりとわかる答えではなく、私たちに委ねる形になっていました。トークショーでちーちゃんが言っていたように「ルークかアッシュか、見る人が決めて」ということに尽きると思うな。明確な答えがないというのは、そういうことだよね。だからこそテイステも最高のエンディングだったと思います。以上!


最後に好きなシーンとか雑談して終わりにします。

・ディストが最高だった。6月に初めて見てからめちゃくちゃ好きなんだけどテイステのディストが1000%ディストでほんとにほんとに好きです。バランスボードに乗せた人天才すぎるしキャスティングも天才すぎる。
六神将紹介のシーンで、ディストが薔薇をぱっと出してポーズとるんだけど、出した瞬間にちょうど薔薇の花弁がぽきって折れて落ちるというめちゃくちゃ奇跡なアクシデントがあって感激した。そのあと茎投げ捨ててたのもさすがだし、他の日は折れてなかったのもさすがだった。
ジェイドと一騎打ちしたけど軽~~くやられたあと「あなたは本当に強いですね~~!^^」ってめちゃめちゃ嬉しそうに言うところほんとに好き~!
あと「ジェイド!あなたの相手はこの薔薇のディ「うるさい黙れ!!!」ってモース様に遮られるところめちゃくちゃ好き。
六神将を集めたヴァンが「世界をスコアから解放するのだ!」と宣言し、みんなが「はっ!」て従う場面があるんだけど、ディストだけ「はっ!」とは言わずにやりとしただけだったのすごすぎた。「私は自分の目的のために動いているのです。ヴァンの計画など知ったことではない」とあとで言うけど、演出細かすぎてスゲエ……!と思いました。ほんとディスト最高すぎて大好きになった……これも10年以上経ってからの新しい発見でした。


・パーティメンバーが次々登場するシーンで、初日以降からみんなの名前を呼べるようになってたのが嬉しかったです。「ジェイド~!」って呼ぶと「騒がしいですね」とか日によっては「いい子ですね」とか言ってて最高だった。
で、ガイが颯爽と現れて「ガイ様華麗に……」と言いかけるんだけどそれにかぶせるように「みつけましたわ!」と登場するナタリア~~!その後も機会を伺ってここぞというタイミングで「ガイ様華麗に……」と切り出すもまたナタリアに「お黙りなさい!」と一蹴されてて可愛すぎてだめだった……それでルークと相談して「あ~~あ~~!」とルークに指差してもらってみんなの注意を引いてからようやく華麗に参上することが出来たんだけど、へたれだしかっこいいしさいっこうだった。天才。

・テイステナタリアの完成度むちゃくちゃ高くないですか!!!???ほんとに声が「王女!」って感じだし立ち振る舞いすべてがナタリアでほんとすごい。少女ナタリアも似合っててすごく可愛かったです。アッシュとみつめあうシーンこっちまでどきどきしてしまった。技名叫ぶときがめちゃくちゃかっこよくて痺れまくりでした。矢が飛んでいくのが見えたよ……アッシュの物語にはほんとに欠かせない存在だしふゆなさま以外のナタリアも考えられなかったな。ありがとう。

・アクロバットティアかっこよすぎた~~~!!!!バク転すごい……惚れてしまう……ミュウがいるとでれでれしてるのに、戦闘になると凛としてて技名叫ぶときめちゃくちゃかっこよくてテイステティア大好きです。序盤の全然戦えないルークを気遣って戦うところと、ゲームの勝利画面と同じようにポーズ決めるところが好きです。前にハイタッチしたときめちゃくちゃ顔ちいさくて美人すぎて同じ人間とは思えなかった。

・ヴァン師匠のダンス待ってました~~~~!って感じでうきうきで見てしまった。洗脳されている……笑 今作は殺陣もパワーアップしててルークもアッシュもガンガン圧しまくって手玉にとっていてまさにラスボスの貫禄という感じすごかった。原作のヴァンよりもさわやかさがあるので、こっちのヴァン師匠の方がより騙されそうな気がする。いやとにかく真正面から見たダンスがかっこよすぎてあれはほんとクセになります。

・イオン様とシンクの二役すごすぎた。本当にちゃんと演じ分けられていて、シンクがイオンの真似するところとか真に迫ってた。レプリカってこんな感じなのか……ってしみじみ思ってしまいました。トークショーでどう演じ分けているか?って質問があったときに「立ち方から変えている。イオンのシルエットはまっすぐ、シンクは斜め」っておっしゃっててああ~~確かに!!!って初めて気付いた10年以上のアビスファンの私……。声がアニメ版イオン様とシンクにそっくりですごいです。はまり役すぎたよ~~!

・リグレット教官めっちゃくちゃ好きなんですよ……凛としてて強い女であるのは確かなんだけど、ときおり滲み出る少女性みたいなのも感じられて、見入ってしまった。秘奥義が超~~~~カッコいい。ゲームのリグレットそのまま再現されてたんですよ。Blu-ray出たら見て。立ち振る舞いや声の感じがきびきびしててほんとハマってました。ダンスもくるくるしたのが素敵で毎回見るの楽しみだった。あれはわたしでも憧れる。教官に撃たれるなら本望。

・くるくるしたダンスめちゃくちゃ可愛いカッコよくて毎回アリエッタのダンス見るのほんと楽しみだった。あとアニスと終始ケンカしてるの可愛すぎた……報告書できあがったあと「そ~~ちょ~~~!」って呼びながら駆けてくるの、アニスの「イオンさまああ~~~!」と似てるんだよな。この子たちってほんとはどこまでも似てたんだなって思えた。ぬいぐるみぎゅってしたときの表情がとっても好きです。また見たいよ~~!

・ラルゴとモースが二人で会話してるところしぶすぎて痺れました。安定感ありすぎるし味がありすぎてほんとよかった……ナタリアに対するラルゴの苦悩なんかも改めて見られて、人間味溢れる役によく合っているなと思いました。モース様は性格ねじ曲がってるんだけど、ティアを自分のもとに引き入れるときに紳士風に手を広げてエスコートしたり、気品の高さが表現されているのがとてもよかったです。おふたりの演技でかなり重厚な仕上がりになっていました。

・ジェイドがダンスもアクロバットも素手も槍も剣も譜術もつかえてカッコよすぎる~~!!!ヴァンとの一騎討ちアクロバット&ダンスバトル最高すぎて脳汁出た。キレが半端ない……毎回ぎゃ~~!って声あげてしまった……。決めたあと髪をぱって払うところで毎回死にます。研究所時代でふつうにサフィールを気遣う白衣ジェイドも見られたし、バランスボードに乗るジェイドも見られたしいろんなジェイド見られてほんと楽しかったありがとうございます!!!!!

・小さいのに明るく走り回ってるアニスちゃんがほんとゲームのまんまですっごい好きでした。見るたびに、観客にあわせていろんなアドリブいれたりしててほんとすごい役者さんだなと思ってた。アリエッタとの喧嘩が可愛すぎてにこにこしながら見てた。バチカルで「ナ~タリア!ナ~タリア!」って応援するとき、気付いたらすぐ横に布をかぶったアニスちゃんとイオン様がいて普通に客席で一緒に応援してて可愛すぎてめっちゃ笑ったwww

・ガイはいちいち「アニス、大丈夫か!」「ナタリア!」「ルーク!いくぞ!」て声かけてるのがガイだな~って感じで良すぎた。あとエルドラントでのシンク戦にて、イオンの真似に傷付いて呆然としてるアニスを「アニス惑わされるな!」とガイが守るところが最高すぎて~~シンクの秘奥義アカシックトーメントが発動した際、アニスを突き飛ばして自分が代わりに攻撃受けたりとかさあ……はあ……お返しにシンクに秘奥義叩き込んで倒したあとも、シンクの状態には目もくれずアニスのところに走っていったのでああ~~って昇天しました。この舞台のガイの女性恐怖症がアニスにからかわれて露呈したところから始まって、アニスに触れるようになって終わるの最高すぎ。みんなを気づかって守りつつ戦ってるところがガイって感じで最高に好きでした。あと腰のぶらぶらしてるヒモが好きです。

・ノワール様と団員ちゃんの前説毎回ほんと楽しみでした。すっごい役に合ってた。喋り方もノワール様らしい感じで、アッシュに対する想いも原作以上に深くて、とてもよかったです。すごい好きなシーンあってさ~~ケセドニアのサーカスみたいなところで彼らが登場する場面なんだけど、最初に団員ちゃんとダンサーさんが踊って、盛り上がったところで「さあ、暗闇の夢の団長、ノワール様の登場だ~~!」って言って段上からふりふりのスカートはいたノワール様が出てくるんだけど、あの空間が本当によかった。キラキラしてて、みんな笑顔で楽しそうで、ほんとにケセドニアでは夜な夜なこういう空間があったんだなあって思えた。戦争の恐怖を忘れられるような、いい意味で麻薬みたいな、ただただきらびやかで夢の中にいるような時間。そこに私たちもいて一緒に踊ったり笑ったりしてた、本当に。それが最高でした。

・ルークはもうルークなんだよな。ほんっとにルーク。声が同じだし腹筋も同じだし見た目も同じで、本当にありがとうなって思う。アビスを大事にしてくれてるのがほんとうに伝わってくるし、心からルークを演じてくれている感じがしてほんとに見るたびに岩城くんでよかったよと思う。初日のカーテンコールですでに泣いててもらい泣きしてしまった。

・少年アッシュは本当に小さい男の子なので、一生懸命な気持ちとか健気な気持ちが伝わってきてウッてなってしまった。ツイッターとか見てるとみんなに愛されててほんと可愛いです。トークショーとかで自分の言葉でしっかり話せてたところも可愛いし感激しすぎた、親かよって感じでした。これからが楽しみです。頑張ってね!

・アッシュおつかれさま。普段の優しげな表情からはアッシュという烈しい役は想像つかないんだけど、声も身も心もアッシュになっていて素晴らしかったです。他人を見るときの冷ややかな視線とか、ルークに対する表情とか、ナタリアに向ける優しい言葉とか、本当にいろいろなアッシュが表現されていて、新しい発見もたくさんありました。
立ち去るときとか一戦終えたあとに法衣をばさって靡かせるんだけど、靡かせすぎて身体の前にぺろんって出てきちゃったりとかするところとか笑、嫌いな食べ物がいまだにあるところとか、すごく人間味のあるキャラクターとして命を吹き込んでくれてありがとう。アッシュの物語を一緒に追いかけられて、本当に幸せでした。こんな幸せなことってあるんかな~まじで。アビスを好きでよかったと思わせてくれてありがとうございます。新井くんのアッシュ最高で本当に大好きでした。


最後に。
8月26日の東京最終日、カーテンコールで新井くんは舞台から客席を見渡して、「ZeppDiverCityのこの景色を絶対に忘れません。約束します」と言いました。それで、あ、また約束が増えた、と私は思ったわけです。
ティアとの約束と、ルークとの約束、ナタリアとの約束、いろんな約束があって戻ってくることが出来た彼らから、私たちへのもう一つの約束。だからまた会えるかな、って思ってしまいました。
本当に本当にテイルズオブジアビスを舞台化してくださってありがとうございました。最高の舞台を目にすることができました。発売から10年以上経ってもこんなかたちで新しいアビスの世界を楽しめて、本当に本当に幸せでした。願わくば、ずっとずっとこの夢が続きますように。

おまけ

 

テイルズ オブ ジ アビス 鮮血のアッシュ(1) (角川コミックス・エース)

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