現在判明している誓約についての情報をまとめます。
そもそも誓約とは何か
ゲーム中の証言をいくつか見ていきます。
シアリーズ「(誓約は)自身の言動に枷をかけて、特別な力を得る儀式のことです。厳しい枷で縛るほど、強い力が手に入る。その誓いは、ある意味――」
ベルベット「“呪い”ね」 (監獄島)ベルベット「あれは命を賭けて使うようなもの」
マギルゥ「複雑な儀式と試練を経て、やっと完成するめんどくさい術」 (ブリギット渓谷)
以上のことからわかるように、誓約の力はホイホイと使えるものではありません。
一応ゼスティリアの公式設定資料集の定義も見てみましょう。
【誓約】
自身に破ってはならない誓いなどの禁忌を課し、代償として本来は得られないほどの力を手に入れる。これを誓約と呼び、遵守するのが難しい誓いであるほど得られる力は強大になる。誓約を破るとそれによって得た力が失われるのは当然だが、それ以上に大きな代価を払わなければならないこともある。天族は大なり小なりの誓約を課していることが多く、人間でも誓約は可能。しかし、人にとってそれは人生を変えるほど重いものである。
ベルセリア-ゼスティリア世界とも、「誓約」のルールは同じでとくに変化はないようです。
ベルセリアにおける“誓約”
それでは、各キャラクターが課した誓約を見ていきます。
シアリーズ⇒自身の命を代償に、失われた術式を構築する
サブイベント「過去の真実を求めて」で詳しく描かれています。
シアリーズは、ゲーム開始時の数か月前、体内に”ある術式のひな形”を組み込んでいました。
それは己が身に取り込んだ力を操作する術”ソーサラーリング・ブリュンヒルト”。
カノヌシを制御する神依を完成させるために必要だったが、この大陸では失われた技術であるため、再生するには相応の代償=命をかけることが誓約となる。
この術式はシアリーズが死ぬことで完成します。彼女はただの道具・装置にされてしまったのです。
なお、ジークフリートはこれと同種の力を持ちますが、まだ発見されておらず、聖寮はブリュンヒルトの開発の方を急いでいます。
命をかければいいのならば、他の聖隷でも可能だったのでは?という疑問もあります。
でもアルトリウスがセリカの転生体であるシアリーズをわざわざ選んだのは、もう戻れない状況に自分を追い込むためだったのではと思います。
セリカを殺したこの世界(全)のために、二度もセリカ(個)を殺すという痛みや矛盾を、自分の覚悟に変えようとしたのではないでしょうか。
また、「彼女がセリカではないことはわかっているが、もしかしたら過去の記憶や意思が戻って、以前のように幸せに暮らせるかも」という叶わぬ期待を、彼女を殺すことで完全に断ち切りたかったのかもしれません。一切の感情を捨てて理のためだけに進む己を作り出すために。
ブリュンヒルトの完成には、数か月かけて術式が組み上がるのを待たねばなりませんでした。その間に、シアリーズの心にも変化があったようです。
ベルベットに喰われる直前、シアリーズは「結構、面倒な女なのですよ」と言います。
すでに3年前の降臨の日直後からセリカの記憶は戻っていましたが、シアリーズがアルトリウスに抗おうとした決意した大きな理由は、なにより「自分を道具と切り捨てた」ことにあったのではと思います。
アルトリウスが「弟ライフィセットを殺したこと」、「ベルベットを利用していること」、そこに「自分の命をただの道具にしたこと」が揃ったというのが重要なのでは。
シアリーズはセリカの記憶をもっているだけで、セリカとは別の人です。
でも、シアリーズとしてアーサーやライフィセットたちと過ごした日々も、あたたかく、大切だった。アルトリウスは世界を救うためにクラウ家を生贄にしている。彼は、セリカとシアリーズが大好きだった「アーサー」ではなくなってしまった。ましてや自分が死ぬことで、許すことのできない「アルトリウス」が完全な状態になってしまうのですから。
ところで、あらすじ「黒き焔立つ」を見ると
シアリーズの命を対価に、ソーサラーリング“ブリュンヒルト”が生成された。
とあります。ブリュンヒルトってずいぶん先のサブイベントまで名前も出てこなかったけど、あらすじにちゃっかり書いてあった。
さて、アルトリウスを討つ決意を固めたシアリーズは、監獄島へ行きベルベットを脱獄させます。自分の力を彼女に与えることも、最初から決めていました。
「私の体には、命を捧げることを枷とした“誓約”がかかっています。私を喰らって“力”を手に入れてください」
そうしてシアリーズを喰い術式は完成。ベルベットは喰らった力を自分の力に変えることが可能になりました。
生成されたソーサラーリングは指輪の形をしていますが、恐らく形としての象徴なだけで、それをはめただけでは術は起動しないのでしょう。アビスではソーサラーリングを別のチーグルに貸したりしていたが、そういうことは出来ない。食べたベルベット本人の固有の力となるようです。
ライフィセット⇒自身の姿をドラゴンとすることを代償に、世界に届く浄化の力“白銀の炎”を得る
ライフィセットの浄化の力はもともとカノヌシの力の一部として発現しましたが、自分の思うままに発動・操作できないという欠点がありました。そもそも、業魔になったらもとには戻せないという世界の道理を覆すほどの力ですから、扱うには相応の代償がいります。
エンディングではこの力を補完し、カノヌシの代わりの聖主になるために、ライフィセットは自分の意思を示します。
「僕は、この世界にもたらしたい!心を溢れさせてしまった人が、やり直せる明日を!どこまでも飛ぼうとする人たちが、翼を休められる時を!強くて弱い人間が……!怖くて優しい人間たちが……!いつか空の彼方にたどり着ける様に!世界に”白銀の炎”を!」
お腹がすくのは生きてる証だとベルベットに教えられてから、(聖隷は食事をとらなくても生きていけるのですが)ライフィセットは食べることを純粋に楽しんでいるような印象がありました。
つまり、お腹がすくこと、何かを食べることは、すなわち生きているということ。
ライフィセットが掲げたリンゴにはそんな意味が込められていると思います。
穢れ(心、強い感情)に冒された業魔を、もとの姿に戻し、もう一度生きることを始められるように、そのためにライフィセットは誓約により強力な浄化の力を得ました。
白銀の炎は、あふれた穢れを祓って業魔を人間の姿に戻すことができる。でも、心を変える力ではないので、ロクロウなどは業魔のままでした。
ロクロウは、「斬ることが俺の存在そのもので、生きる意味。その欲を満たすために斬る」と語っていました。だから彼は自分が業のままであることを選んだ。「自分の舵は自分でとる」と彼らが教えてくれたことが、ライフィセットの力に表れているのが本当にやさしくて涙なしでは見られません……。
作中で何度も何度も語られていますが、「ドラゴンになった聖隷はもとに戻すことができない。殺すしかない」という前提から、ドラゴンになるということは、ほとんど「聖隷としての自分の死」を意味するのだと思います。戻れないからこそ、強大な代価を得られる。
というか、そういう設定にしといてくれないといろいろ破綻するんですよね。ドラゴン化をもとに戻す方法があるのなら、ライフィセットの誓約は弱いものになるし、TOZでアイゼンを殺す意味もなくなってしまう。だから「穢れとの結びつきを断つ力をもつ」ジークフリートとかぎりぎりな道具が出てくるたびにヒヤヒヤします。
メルキオル⇒寿命を延ばす〔代償は未判明〕
メルキオルは誓約で寿命を何百歳と延ばしています。かつては自然のままに滅びるつもりだったが、「理を乱すのも人なら、超えるのも人。理を超えて願い想う”理想”こそ人の力だ」というクローディンの理想に感化されたらしい。
彼は先代筆頭対魔士クローディンとともに長寿を得て、その影として、友として、支えてきたのでした。
なお、何を代償にしているのかは不明です。
「草花を傷付けないこと」は誓約ではなく、メルキオル自身の信条でした。理にがんじがらめにされた彼に唯一残されていた“情”の部分です。
TOZの刻遺の語り部メーヴィンは「公平であるため時代の趨勢に関わらない」という誓約のもとに寿命を延ばしていますが、メルキオルの場合はおもいっきり歴史に干渉しています。
彼は何と引き換えに寿命を延ばしていたのか?ということは今後語られるのでしょうか。
クローディン⇒誰も殺さないことを代償に、寿命を延ばす
クローディン・アスガードは、かつて大陸を統一した王でした。同時にアルトリウスの先代の筆頭対魔士でもあります。
300年近く寿命を延ばしていましたが、後継者であるアルトリウスを救うために誓約を破り、死亡しました。(アーサーがセリカと出会う10年前あたりか。)
なお、TOZ公式設定資料集に記載してあるグリンウッド大陸の歴史によると、「クローディン王の死後……」という部分があり、一般民衆向けの歴史では、自然な年齢で死んだことにしているのではと推測。
アルトリウス⇒???
アルトリウスは恐らく自身になんらかの誓約を課していたと思うのですが、その詳細は語られていません。
あらすじ「月下の咆哮」に、「(ベルベットを)殺しはしない。お前の感情を我が”誓約”とするため……」と書かれているのみ。
なのでここからは推測です。
・10年前の開門の日に「今から俺は俺を捨てる」と言った言葉どおり、やさしい自分(アーサー)を捨て、理のためならすべてを犠牲にする対魔士アルトリウスとなった。
・アルトリウスは最終決戦で自らの内に抑え込んでいた「絶望」を解放し、カノヌシを完全覚醒させた。
以上のことから、「自分を捨てることで、強大な“絶望”を抑え込む力を得た」とかいかがでしょう。そうすれば、自分が業魔化するのを回避することができ、喰魔から“絶望”を生めなかった場合の保険にもなる。
でもそうすると、最後にカノヌシと神依したときのアルトリウスは「アーサー」に戻っていたのか?とかなんかいろいろ矛盾はあるけど、とりあえずの意見です。
エレノア⇒「負けた場合、相手に従う」という枷によって、自身の力を引き上げる(※ハッタリ)
エレノアがライフィセットの回収という特命を受け、ベルベットたちに同行しなければならなくなった際、「自分はベルベットとの決闘の前に『負けた場合、相手に従う』という誓約をかけた。だから死ぬまでいうことを聞かなければならない。これは誓約なので自分でも解除できない」と嘘をつきます。
ベルベットやマギルゥに見抜かれたとおり、これはハッタリなので、実際には誓約を課していません。
でも、結果的にエレノアは、ベルベットたちに最後まで着いていった。自分を誤魔化したままでいないために、真実を知り、自分に何ができるかを考えるために。誓約ではなく自分の意思で。というのがいい話だなあと思います。
◇
ゲーム中では「誓約を課す儀式がどのようなものか?」は、ZでもBでも詳しく説明されていません。
本来はめんどくさい過程があるようなのですが、一人くらい見せてくれてもいいのに。
◇
ところで、個人的にアイゼンの「死神の呪い」は誓約の一種なのかと思っていましたが、彼自身の「加護が反転する性質」だとわかって、なんとなく納得しました。
TOZデゼルやサイモンと同じ性質の聖隷(天族)ということですね。加護を与えることが逆に人を不幸にさせる疫病神っていう。
そして、サイモンに関連してもう一点。
サイモンは、「誰も殺さない」という誓約で、あらゆる幻術を生み出せるという力を得ていました。
同じく、メルキオルは通常考えられないほど強力な幻術を使います。
それについてベルベット一行は「死神の呪いと同系統の特殊な力をもった聖隷を使役しているんだろう」と考えていますが、霧を使って、後悔とともに幸せな夢に閉じ込める、死神のような力の聖隷って……。
サイモンと似たタイプの聖隷というか、ほぼサイモンでは??
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