二月の星のうえ

テイルズが好きです。ほぼネタバレに配慮していない個人的な感想です。

【ベルセリア】ドラマCD感想。ベルベットの恋ごころの在り処について

テイルズオブベルセリア ドラマCD vol.1を聞いたので感想を書きます。
久しぶりにベルセリアメンバーのやりとりを聞いたら、やっぱり、それぞれの構図や関係性が絶妙すぎて、あらためて感動しました。
おもにパーティメンバーと、ビエンフー、ベンウィック、グリモワールが喋ります。

■原作での時期
喰魔を確保しつつ聖寮から隠れる場所が必要になったため、監獄島に乗り込んで奪取したあとのことです。

■さらにこまかい時期について
ライフィセットをめぐるエレノアとの所有権争いで微妙にぎすぎすしてることと、ベルベットが一度も「フィー」と呼んでいないことから、「フィー」という愛称をつけるより前?
完全に監獄島に馴染んでるので、エレノアが「今まで隠していましたが、私はスパイでした」と宣言をした後?
カノヌシの姿が弟ライフィセットと同じであることを知るよりも前。
そんな頃だと思われます。

■気遣いの鬼ロクロウ
冒頭はロクロウとベルベットの会話から始まります。
ロクロウが、まだ心から信用し合えていないエレノアとベルベットの関係について心配していてとてもよいです。エレノアのこともベルベットのことも本当によく理解しているし優しいし気を遣えるしなんなんだこの業魔は……となった。

このドラマCDは、とにかくロクロウが優しくてたくさん褒めて気を遣ってくれるのでロクロウ好きは聞いて絶対損はないですマジで。

■監獄島での過ごし方
二人の会話からは、彼らの監獄島での生活の様子が垣間見えました。
ゲーム中でもモアナたちを中心に和気藹々としている様子が描かれていましたが、ドラマCDでは、個人ごとに部屋をつくってそれぞれ好きに過ごしているらしいことが判明。

囚人用の牢獄だけど、部屋だけはたくさんあるし、綺麗にすれば快適なのかも。しかも各人の部屋はかなりプライベートな空間になっているらしく、ロクロウがエレノアの部屋の中の様子を知っていることに対して、ベルベットがかなりきつくつっこんでいるw
ロクロウは、覗こうと思って覗いたわけではない、たまたま見えただけだと弁明しているけど。可愛いのうぐへへ!^o^
このチームで野宿したり同じ場所で一晩過ごしたりすることは頻繁にあるはずだけど、そのときも女子の領域には入ってこないよう男性陣にきっちり言いつけているんだろうかw
ただ、凄惨な日々をここで過ごしたベルベットにとっては複雑らしく、あまり長居したくないみたいな口ぶりだった。

■ゲームのシステムのひとつである「異海探索」で、探索船が戻ってきた場面
みんなで成果を確認します。こんな感じで毎回ライフィセットとかアイゼンはわくわくしながら船を迎えに行っていたのかな。かわいいぞ。
ベンウィックがいちいち「副長っ」って言うのがかわいいんだけど、他の海賊たちに対してはちゃんとリーダーシップもとっててまたかわいいです。

■「若気の至り」に覚えがあるかどうか、という雑談をする場面
恥ずかしい過去の例として、ポエムとか日記の話が挙がるなか、なぜかベルベットはマギルゥが言った、「決して出すことのない恋文」に反応していました。

これをどう解釈するかなんですが。
仮に、そういう経験があったとして、じゃあ相手は一体誰なのか。
村娘時代のベルベットは、親友のニコなどに比べておしゃれにあまり関心がなく、気がありそうな男性に対してもアプローチされている自覚がないようだった。姉が死に、弟は病気がちで、義兄とふたりで家を支えていかなければいけない状態だったから、恋愛をするような余裕は当然あるはずもなかったわけです。

だからこそ、身近な男性を意識していた可能性は高い。
他人だけど家族で、兄だけど異性で。そう、アーサーです。

ベルベットがアーサーに恋心を抱いていたのか否かについては、ゲーム中でも他の資料でもはっきりと書かれていない。
けれどこのドラマCDでは、ベルベットが「出すことのない恋文」に心当たりがあるように描かれていて、それは明らかに過去関わりのあった異性、つまりアーサー宛てに恋文を書くかそんな真似事をした可能性が高いと思わせる文脈だった。

うっ……息が……ベルベットがアーサーに片思いしていた説むっちゃすきなんですが、もしも恋愛対象として好きだった場合、姉の夫への横恋慕になり、しかも姉が亡くなったあとの数年間一つ屋根の下で一緒に暮らしていたことになり、かなりドロドロしてしまう。。でも好き。。
家族として大好きだった、彼と家族みんなで過ごした日々が大好きだった、戦い方を教えてくれた師として尊敬していた、のは確かだけど、それが家族や子弟の間での愛なのか、恋だったのかどうかは、《あきらかに》濁されています。
でも、やっぱり、家族のことに加えて自分の想い――恋として大事にしていた想いまでもがめちゃくちゃにされたからこそ、あそこまで憎悪し喰らいついていった、とも考えられるかなと思う。ベルセリアにおける女/男性性については前にも書いたけど(参照)、ベルベットの性格が、家庭的で・感情が烈しく・見た目はたいへんに女性らしくあるのは、《ベルベットは女性である/アーサーは男性である》という記号をかなり強調していると思うんだよね。

このドラマCDで、ベルベットからアーサーへの恋心が示唆された(とわたしは思っている)おかげで、また良さが深まってしまって困ります。。
まあとにかく本当に大好きだったんだ、家族としても、ひとりの人間としても。だからあそこまで憎くなってしまった。その説得力が、痛いくらいに増したということ。

■ベルベットとライフィセットのこと
さて、一行は古文書の内容に従ってとある島へ向かう。そこでさまざまな罠にはまり、なかなか緊迫した展開になります。
大量の水に飲みこまれそうになったライフィセットの手をベルベットがつかんで、「この手は絶対離さない!」と言う場面。
これは、ベルベットが落ちていく《ライフィセット》の手をつかむという、ゲーム冒頭3年前の緋の夜と、ヴォ―ティガンの海門で繰り返された象徴的な構図と同じ。

前述しましたがこのドラマCDのベルベットは、恐らくまだライフィセットにフィーという愛称を付ける前で、無意識に弟を重ねていると思う。
このあと厳しくフィーを叱るのも、良くも悪くも「(姉である)あたしがしっかり面倒をみなくちゃ」という想いからかな。
ベルベット、相変わらず苛烈で容赦なくて本当に全員に厳しいんだけど、最後の最後に見せる「あんたがそこまでいうなら……」っていうところ、普通の「お姉ちゃん」って感じがしてすごいいい。ほんと、もとはただの村娘なんだものね。心配で、大事だから厳しく言っているだけ。
だから強い覚悟を見せられたら、今度はお姉ちゃんとして応援したくなってしまうんだろうなあ。

ベルベットの根底にこのような「家族想いのお姉ちゃん」があるところがすごく好きで。
非情に振る舞うのも、自分のためだけじゃなくて<弟/放っておけない誰か>や<家族/目的を同じくする同士>を守るために行動しているだけなんだよな。
そのギャップが魅力であり彼女の弱さでもあって、すごくすごく好きなのです。
このドラマCDは、ふとした瞬間に出る、ベルベットの「普通の女の子」な部分がたくさんあって、すごくよかった。
「男が女子の部屋を覗くことへの抵抗」「料理上手」「《弟》が自分以外に懐くのがちょっと悔しい」「可愛らしく恥ずかしい過去(があったかもしれないということ)」
そんな女の子があんなにも非情な道を選んでいることが、美しくて悲しく、ベルセリアという物語がたくさんの人を惹きつける要素になっているのだろうなと改めて思いました。

■3つめの罠で、床が抜けて下に落下する場面
地下の迷路のような場所に落ちてそれぞれ離れ離れになってしまうという、よくある分断イベントだけど、そういえばベルセリアって、なぜかベルベット・エレノア+フィー、アイゼン・ロクロウ、マギルゥ・ビエンフーの組み合わせで別れることが多いなと思いました。ゲームでカノヌシに地脈に飛ばされたときも、そんな感じだったし。
ふつうは《主人公とヒロイン/その他の男女ペア》みたいに別れると思うんだけど、これもベルセリアらしくてよかった。エレノアとベルベットのやりとりも、率直で本当によかった。エレノアはまっすぐで、ベルベットも認めるところはきちんと認めていて。好きな二人です。泣ける。

真犯人もいる都合上オチについては記載しませんが、くだらなくて可愛かったですw

✦おすすめポイント
・ロクロウのフォロースキルがすごすぎて惚れそう
・みんながベルベットの料理をおいしそうに食べてる(幸せ)
・アイゼンの先導で罠にはまり続ける男ふたりが最高にかわいい
・めちゃくちゃアンニュイなグリモワール。宝箱に夢中になるみんなに「バカみたい(溜息)」って言うセリフ笑った
・ベルベットのデレというか飴の部分の破壊力がすごくて惚れそう

♥好きなマギルゥポイント
・聖隷のアイゼンに、術のことを尋ねられる。さすが姐さん
・こっそりいなくなってもロクロウとアイゼンがちゃんと見ててくれてる
・声が最高にかわいい。。。ありがとうございます!

久しぶりのベルセリアの空気感を、ぜひぜひ。
とくにこだわりなければたぶんタワレコで初回登録して500円オフクーポンもらって買ったらいいよ。送料も無料。

ドラマCD「テイルズ オブ ベルセリア」Vol.1

ドラマCD「テイルズ オブ ベルセリア」Vol.1

  • アーティスト: 佐藤利奈(ベルベット・クラウ),浅倉杏美(ライフィセット),岸尾だいすけ(ロクロウ・ランゲツ),佐藤聡美(マギルゥ),森川智之(アイゼン),小清水亜美(エレノア・ヒューム),永澤菜教(ビエンフー),佐藤拓也(ベンウィック),平野文(グリモワール)
  • 出版社/メーカー: フロンティアワークス
  • 発売日: 2018/01/31
  • メディア: CD
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