二月の星のうえ

テイルズが好きです。ほぼネタバレに配慮していない個人的な感想です。

【TOtR】バレンタインイベント感想。鏡としてのレイズ、マークのこと

レイズのバレンタインイベント最高すぎた。これだけの感傷は、生半可なシナリオでは到底得られないと思う。
感謝の気持ちをこめて私からも運営さんにチョコレートを贈りました(課金)
本当に本当に素晴らしかった。とくにアビスが好きな方は、とにかく読んでほしい。説明不要なくらい最高。言ってほしかったことが全部全部聞けてしまった。発売から何年も経ってこんなものが読めるなんて。すごすぎて心が苦しい。

レイズに関する設定等についてもイベントシナリオなのにまたいろいろ重要なことがわかりましたので整理します。

鏡殻変動後の世界

このイベントは、「少しだけ先の出来事」と紹介されています。
第二部一章(鏡殻変動から一ヶ月後)の「少しだけ先」、このあと配信されるであろう二章(ルカの話?)よりも先のことになるのかな。まあとにかく時間が経ち、それなりに混乱が落ち着いてきた頃と考えられます。
しかし、世間はようやく今まで通りの日常生活が戻ったばかりで、バレンタインや高級菓子を楽しむ余裕はまだないらしく、ミリーナは自分に責任を感じてしまっている。
イクスの代わりにゲフィオンがちゃんとできていれば、あのとき自分が代わりになれていれば。自分を責めないようにしようと思ってはいるけど、やっぱりどうしても落ち込んでしまう。
アニスとは違い、今のこの世界の風景はミリーナへの戒めだらけです。

そのうえ、一番会いたい人は確かに生きているのに、会うことはできないし、もちろんチョコレートを渡すことだってできない。

そんな状況での、彼らの普段の生活ぶりが垣間見えました。

●アジトの外へでかけるときは、複数人かつ護衛係を連れて行くようにしている模様
「ご一緒に」と言われただけでガイが「護衛係か」と言っているので。
一章ではミリーナひとりで思い悩み単独で外へ出たりしていたけど、みんなに頼れるようになったのかな。頑張ったねミリーナ~;;

●お菓子は買いにいけるレベル
手配書が出回っているものの、ミリーナのもののみ(しかも似てない。お約束)なので、みんなで買い出し(お菓子含む)に行っておいしいね~とかお喋りするような余裕はあるみたい。

●エドナ様のお茶会
エドナ加入イベントの頃から恐らく定期開催されているお茶会。ガイは女性恐怖症を克服するためにおもちゃ兼給仕役として参加しているようですw
驚くことにジェイドも呼ばれているそうな。彼はエドナとかリフィルとかにどうもうまく逆らえないようす。年上というかお姉さん風のキャラクターが苦手なのかなあ。(リフィルは10歳も年下だけど、たぶん雰囲気がネビリム先生に似てるせいなのかと……)

今回「ミリーナはジェイドと対等に渡り合える」とも言われてるんだけど、それはゲフィオンの記憶が戻って精神年齢的にもお姉さん要素強くなったからなのかな。

お茶会は基本的に女子がメインなんだろうけど、ミクリオとかエドナにボーヤ認定された人たち強制的に参加させられてそうだな~~なんなんだこのお茶会別の目的があるんじゃないかと思うくらい最高すぎる
キール研究室とかもそうだけど、こういうサークル的な集まり他にもありそうだからどんどん教えてほしい。楽しすぎる……

帝国軍と救世軍

●アスガルド帝国軍
四幻将はもともと救世軍での職(?)だったはずだけど、いつの間にか帝国軍の四幻将になってる。(ディストが自分で言ってるだけかも)
ミトスもリヒターも帝国側にいるわけだからそうなんだろうけど、チェスターもやっぱりそっち側にいるのかな?

●救世軍
フィル(1人目)はここにいる模様。義勇兵の半数以上が帝国軍に吸収された様子。
帝国から追われているので、現在ミリーナ側と対立する理由はない。

うーんディストもフィルも、黄金のカカオをつかって研究をしようとしている(=アニマを変質させる研究??)けれど、救世軍と帝国軍の今の目的はなんなんでしょう。
そして、フィルはいずれミリーナに接触するつもりでいるらしいということもわかりました。最終的にはフィルとミリーナで共闘することになるのかな。ただ、いかんせん、目的がわからないので不明なことばかりです。

「イクス以外」なマーク

ガイがミリーナを慰めようとしてほとんど口説いてるようなことを言ったあとに「私がイクス以外の人を好きになる訳ないじゃない」と真顔で返すミリーナさん。
それを聞いてマークは「……ははっ。地味にダメージくらうな」と思う。
これは、フィルの鏡精としても、マーク自身としても、どちらでも解釈できるのですが、彼のミリーナへの気持ちはもうちょい複雑である。

14章での彼のセリフ。

――俺はフィルの鏡精だ。フィルの想いは知ってるし、俺の感情はフィルの想いに影響される。だから俺はお前たちが憎くて……でも――いや、まぁ、それはいい。

オリジナルのフィルは、オーデンセでの幼馴染み3人のうちのひとりとして、「イクスに憧れて、嫉妬して、ミリーナの願いを無条件で叶えようと」していました。
で、フィルは確かにミリーナのことが好きで大切なんだけど、「ミリーナの隣にいるのはイクスがいい」とも望んでいる。ミリーナが好き/イクスは嫌いってわけでは決してないから、とにかくぐちゃぐちゃ。

そんな心から生まれたマークの感情も、もっと複雑で。フィルの想いに影響されつつ、主人であるフィルの幸せのために……ってなったとき、一番大事なのはオリジナルのフィルやミリーナ(ゲフィオン)だから、フィルを苦しめる要因になる具現化されたイクスやミリーナの存在が憎くもあった。でもやっぱりイクスとミリーナのことは嫌いになれなくて、とくにミリーナのことは、そういうふうに影響受けて生まれてんだし好きなんだよしょうがないだろ、みたいな、そんな感じかなと思う。

ただ、前回(参照)も書いたけどマークは蚊帳の外側のキャラクターなので、彼自身も本気になりたくない(本気だと悟られたくない)し、かといって本気で相手されることもない、ほんとうに微妙な立ち位置だと思ってるので、もっとマークの心の声が聞きたいです。。
ミリーナの隣に立つのがフィルになるなら本望だけど、自分がそこに立つのは滑稽で、そんな願いは馬鹿げていると思ってそう。
少女漫画のヒロインが、彼氏の男友達にひそかに想われてるみたいな状況が大好きなので、マーク→ミリーナいちおしです。
全然関係ないけどなんか今、「じゃあマークは大きくなったカーリャ先輩とくっつけばいいのでは?」というお告げが聞こえた。

鏡面

レイズ世界に来ているキャラたちは、たいていが元の世界で「愚かで不器用だった」「取り返しのつかないことをした」といった経験を経ている状態です。
なので、そこを越えた歴代キャラクターと比較すると、どうしても、まだまだイクスもミリーナも愚かで未熟だし、これから同じように取り返しのつかないことをしてしまう可能性があるように思ってしまう。
だから、みんなミリーナのことを心配していて、なんだかんだ声をかけて叱ったり励ましたりしてくれています。
とくにジェイドは、原作では「滅多に人を叱らない。叱るのは気に入っているから」などと言われているのに、ここでは誰よりもミリーナのことを気にかけています
彼女が、自分を含めたアビスメンバーと同じ過ちを繰り返さないようにと率直に願っている。
それはミリーナの心の在り様が自分と似ていると感じているせいなんだと思います。わかるからこそ、この先彼女が間違う可能性について心配してるんだろうな。(ジェイドのサブシナリオ必修)

で、このバレンタインイベントがアビスファンから見て最高だったのはいうまでもないのですが、一人に対しての言葉が、他の多くのキャラクターに波及していく重層的な演出が、本当に見事だった。

アニス「――えっと、なんというか、謝りたければ謝ればいいけど、あんまり色々背負い込むこともないんじゃない?」
(中略)
ルーク「アニス……。今の、もしかして……俺にも……」
アニス「あーうー……。ルークはもう……色々頑張ってたじゃん。それで何の因果か異世界にきてさ……。そりゃ、元の世界では大本の私たちが今でも頑張ってるんだと思うけど……。こっちに来ちゃったものはもうしょうがないじゃん。ここは……だからご褒美みたいな感じでさ、色々吹っ切っていいと思うんだとね。だって……そうしようと思っても吹っ切れないものってあるじゃん」
ルーク「アニスも……そうしろよ? イオンのこと……」
アニス「ルークが吹っ切ったら私もそうできるかな。わかんないけど」

アニスがミリーナに言った言葉は、ルークにも、アニス自身にも、そして他の多くのキャラクターたちにも聞いてほしい、そういう言葉だったのが本当に最高だったと思います。そうなんだ、誰かがそう言ってくれるのをずっと待っていたんだよ。

前述したように、ここへ来ている歴代キャラクターはいろいろ苦しい思いを経験したあとである場合がほとんどで、そしてそのどれもが、忘れることは許されない出来事だった。
だからこそ、ここにいる彼らの「吹っ切って今を生きようとする姿」も「戒めがなくなって逆に苦しむような姿」も元の世界では絶対に見ることはできなかった、鏡に映るもう一つの顔として、印象的なのです。
私たちは彼らのその映された姿を素直に楽しんでいいのだし、彼ら自身だって、経験することのなかったifであるレイズでの今を自由に楽しんだり苦しんだりしていい。
でも、ifだとしてもこれは全部が全部本当の彼らなのだ。どの姿も本物だからこそ、こちらもここまで感情移入してしまうのかなーと。

あらためて、このレイズ世界の優しさと残酷さを知ったような気がする。
本物だからこそ、アニスはどうやってもイオン様のことを吹っ切るなんてできないし、自分を苦しめることのない世界が、かえって苦しいだなんて言う。他のみんなもたぶんおんなじ。

その核になっている、レイズという作品における「鏡」は、ミリーナやイクスたちです。
歴代キャラクターは、彼女たち鏡士というシステムが映し出した像であり、同時に、キャラクターたちは「未熟なミリーナやイクス」という鏡を通して自らの姿を映し見る
歴史は繰り返すものだしこのシリーズも(身も蓋もない言い方をすれば)同じような展開や設定はたくさんあるけれど、それらを鏡のように重ね合わせて、比べて、そこに映る自分の姿をあらためて覗き込んだとき、当然だけどものすごくいろんなことに気付くことができるのだ。
だからどこでどんな組み合わせでキャラクターたちが会話していても新しい発見があって楽しいし苦しいし、この世界は本当のことだらけで本当に真摯なんだと思う。
いつもありがとうレイズさん。

 

●気になること
コーキスが光魔や鏡映点を探知する能力を失っているらしい。
ジェイドの話によれば、「マークもそんな感じだったようなので鏡精は姿が大人になると存在そのものが変質するのかもしれないと思いまして」とのことだけど、これはアスガルド側にいるイクスのそっくりさんの存在を捉えられないことの説明になるのかな。
(カーリャならまだ小さいから、イクス(大)に会ったらぶるぶるってなる可能性はあるけど、設定上、アジトを維持するために鏡界から出られないし)
黄金のカカオの研究内容も、大人になった鏡精のアニマの変質にかかわるようなものなんでしょうか。

二章も楽しみにしてます!

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