二月の星のうえ

テイルズが好きです。ほぼネタバレに配慮していない個人的な感想です。

【TOTR】救われなかったベルベットの可能性について。テイルズオブザレイズ10章考察

久しぶりの記事です。

テイルズ新作スマホゲームのテイルズオブザレイズ。その最新シナリオの配信でベルセリアのキャラクターが登場したので、レイズにおけるベルセリアのことと、レイズ自体の考察もこれから書いていきたいと思います。

ところで私が1年以上真面目にやってるスマホゲーはFate/GOくらいなのであまり偉そうなレビューは書けないのですが、レイズは本当に課金してもしなくても楽しめるなぁという印象。魔鏡ひけなくてもシナリオで登場したキャラクターの操作はできるし、オート機能が優秀だから放置してるだけで強くなるよ!バトルもテイルズファンにはお馴染みすぎる仕様なので、とっつきやすいです。
あとシナリオも込み入った状況になってきていて最近とても面白いよ!シナリオ原案は、シンフォニアやアビスの実弥島巧氏なので、もうそりゃ嫌な予感はしますよね(誉めています)。ちなみにアスタリアやリンクは未プレイです。

それでは、レイズ10章について感想を書いていきます。
ザクロスよりも、ベルセリアとゼスティリアキャラがたくさん会話していたので、本当に面白かった。
なお、レイズ側の設定についてはほぼ説明を省きます。レイズの世界観についての考察も今後書く予定ですが、そっちはさらに複雑な感じになりそうなので、できればゲームをプレイしてくださいな。

以下は、ベルセリア、ゼスティリア、レイズのネタバレを含みます。

 

第10章 伝承と始まりの世界

【あらすじ】
具現化作業をおこなっていないにもかかわらず、新たな大陸が発見された。原因は不明だが、鏡映点を保護し、光魔の鏡を封印するため、イクスとミリーナは、スレイ、ミクリオ、エドナとともに大陸へ降り立つ。その大陸の建造物の様式等から、スレイたちはここが「遥か昔の自分たちの世界」だと考える。
鏡映点の反応を頼りに進むと、聖隷の少年ライフィセットと出会う。そして彼とともに具現化されたベルベットに会い、この世界の事情を説明する。
一方、別行動をしていたスレイとミクリオは、「イクスの命を狙う黒髪の女性」と遭遇する。

◯気になったポイント

■歴史考察
この大陸は、すでに具現化していたゼスティリアの世界とは別に新たに出現したベルセリアの世界。スレイ、ミクリオ、そしてなぜかグリンウッドの歴史にめちゃくちゃ詳しいイクスの考察により、ここは「自分たちの世界の遥か昔、アスガード統一期(グレイトフル・アスガード※)。100年の平和が続いたのち、突然大規模な地殻変動が発生した時代」と断定。
(※原文は「グレイトフル・アスガード」ですが、B・Zの設定資料集によると「グレイスフル・アスガード」なのでたぶん誤字)

1000年ほど過去であるにもかかわらず、かなり正確に時代を言い当てていて、さすが遺跡マニア!と思いました。カノヌシが封じられて、Bの時代以降穢れのリセットが起こらなくなったから、考察に足る資料が残っていたんだろうなと推測。

  

■BとZの世界について
ライフィセットの術を見て「天族? 天響術?」と質問したスレイたちに、フィーは「それはなに? 僕は聖隷で、この回復魔法は聖隷術だよ」と返す。当然、お互いの知識の隔たりに首を傾げるが、エドナが彼らの間に立ち、お互いの世界の話はなるべくしないよう配慮する。

ここで彼らが知識を交換したとしても、(恐らく)ここでの経験はもとの世界に持ち帰ることができないので、あまり支障はないけど、ベルベットが「あんたの口からあたしがどうなったのかを知るなんてまっぴらごめんよ」と言っているとおり、とくにベルセリア側のキャラにとっては未来の出来事なんて自分には知る必要のないものだと理解しているようです。自分の舵は自分でとる精神。

 

■ベルベットの味覚が戻った世界
イクスたちと食事をした際、ベルベットは自分に味覚が戻っていることに気付く。
具現化した際に、穢れの性質がイクスたちの世界と馴染むよう修正されていて(エンコード)、人や聖隷にも悪影響がないものに変化したらしく、その影響で味覚も戻った模様。
それを聞いて、フィーはいっそう、「アバルに似た村でベルベットと一緒に暮らしたい」という想いを強くする。
具現化された今だけは、元の世界とは良い意味で切り離されている、と気付いたのだと思います。復讐する相手(アルトリウス)はいない、業魔である悪影響もない、味覚も戻って、大切な人への料理の味見も自分でできるようになったのだから。ようやくベルベットが平和な暮らしを手に入れることができる、と思えたフィーは、ベルベットにアバルに似た村へ行くことを強くすすめます。

……しかし、「味覚が戻った」と聞いて「えっまさかまたあの悪夢が……!!???」と一瞬鬱になったのは私だけではないはず。

 

イクスたちの滞在する村で放火騒ぎが起き、様子を見にいくと、別行動を終えて戻ってきたスレイ、ミクリオと再会する。しかし彼らはベルベットの姿を見て驚く。先ほど彼らが出会った「イクスを殺そうとしている女性」と同じ姿だったのだ。
身に覚えのないベルベットだったが、スレイが「導師」だということを聞き、表情を変える。
「災禍の顕主を退治しに来たってことね」と言うベルベットに、スレイも驚き、武器を構えるが――エドナたちの仲裁により一旦はおさまる。
しかし、突然その場にベルベットがもう一人現れる。このベルベットこそが、鏡士の命を狙っていたのだ。彼女はこちらのベルベットを「未来のあたし」と呼んでいた。

■過去のベルベット
イクスの命を狙い、スレイたちを襲い、村で放火騒ぎを起こしたのは、《過去のベルベット》。その未来にあたる今のベルベットは、紛らわしいから彼女のことは《復讐鬼》と呼ぶよう提案します。。

レイズは、各作品のキャラクターが具現化する時期がさまざまあり(スタンとリオンは別の時期から具現化しており、スタンが知らない原作中の未来をリオンが知っている)、同じ世界の過去と未来の時代からそれぞれ具現化されることもあった(スタンとカイルなど)。

しかし、ひとりの人間の過去と未来の姿が同時に現れたことは今回がはじめて。
イクスたちの知らないところで起きた具現化で、かつファントムが絡んでいるようなので、それが要因であることはほぼ確定。《復讐鬼》は、意図的に引き起こされたバグのようなものなのでしょう。 

ところでこの《復讐鬼》は、原作ベルセリアのどの時期の彼女なのかという問題。

ベルベットとフィーによると「真実を知ったとき」「しかも、あれはもう手遅れね。完全に“絶望”と“憎悪”に支配されているわとのこと。

つまり、地脈で「ラフィが死んだ本当の理由」を知り、「全部、あたしの勝手な思い込みだった。あたしが今までしてきたことは、全部誰のためにもならない無意味なことだった」と絶望したときのベルベット。
だから、おそらくフィーがベルベットを救えていないために、絶望と憎悪に完全にのまれた状態になってしまったということ。

その彼女を、あのとき《フィーに救われたベルベット》と《ベルベットを救えたフィー》が目にするというのは、どちらにとってもあまりもつらい。
とくにフィーかな。《復讐鬼》がいるということは、彼女を救えなかった《僕》が存在した可能性がある。《復讐鬼》にとっての彼は、道具以上の存在にはなれなかったのかもしれない。そのことが、とても悲しいはずです。

ちなみに今のベルベットは「もう穢れを抑えられない状態」のベルベット。
つまり、シグレ、メルキオルを倒す頃~アルトリウスとの対決前までの時期だと考えられます。さらに絞るとすると、ガチャで出るベルベットの魔鏡は「我が名は災禍! 災禍の顕主ベルベットだ!!」というメイルシオでの台詞であり、後述のとおり村人を避難させる際にそのシーンを再現してみせてもいるので、それ以降の時期であることは確定としてよいかと思います。

 

アバルによく似た村で、光魔の鏡を無事に封印したイクスたち。しかしまた”復讐鬼”が現れる。村の人を避難させるため、ベルベットは業魔の左腕を振りかざし、「全員出ていけ! 我が名は災禍! 災禍の顕主ベルベットだ!」と叫ぶ。恐怖する村人は、導師スレイたちの誘導により急いで避難していくが、この村でベルベットと穏やかに暮らそうと考えていたライフィセットは悔しそうに表情を歪ませた。

■原作の再現
ここでは、原作と同じようにベルベットが悪役になり、村人を逃げ出させます。メイルシオでは悪役のまま終わっても問題なかったけど、今回はこの村で暮らしていく気持ちがあったので、その村人に恐れられる方法をベルベットが選んでしまったことを、フィーがとても残念がっていました。

レイズで登場したフィーは、後述しますがベルベットに隠し事をしてまで、「平和に暮らしてほしい」と願っている。とはいえ、この世界でいくら幸せになろうとも、元の世界に戻ったら全部消えてしまう。でも、だからこそ、「この場所でだけは」という想いが強いんだろうか。今だけは幸せになってほしい、そんなささやかな願いなのに、うまくいかないのがつらい。

彼女の行く道が苦しいものだと理解していて、それでも自分の意思でそれについていく原作のライフィセットと比べると、今回のフィーはベルベットの行動に対してなんとなく煮え切らない感じになっていたところがあったりしたみたいだけど、その辺の想いのすれ違いがあったからなのかもね。

 

「過去のベルベットも救いたい」と奮闘するスレイだったが、彼女にはもはや声は届かなかった。
《復讐鬼》と対峙したベルベットは、「あんたをなかったことにはしない」と言い、業魔手で過去の自分を喰らう。それは金色の砂になってベルベットの中に入っていった。

■《復讐鬼》の生きる意味
過去のベルベットは、絶望と憎悪に支配され、アルトリウスを殺すことだけが彼女の生きる意味になっている状態でした。だからアルトリウスのいないこの世界を脱出し、元の世界に戻るために(恐らく不可能なのだが、ファントムあたりに騙されて)イクスを殺そうとしていた。

今のベルベットは、地脈でフィーに救われて絶望を払い、今度は、「自分と自分が大好きだった人のために、この”復讐”をやり遂げる」と誓った彼女。この世界にアルトリウスがいないことを理解しても、取り乱さずにいられました。

この対比を見ると、ベルベットってほんとうに危うかったんだなと思う。きっとちょっとしたことで、簡単に闇落ちしちゃう。でもどんなときでもフィーがそばにいてくれたから、彼女は大丈夫だったんだ。

しかし、「過去の自分を殺す」というのはタイムパラドックス的テーマとして最も有名なやつだけど、この世界では理論上どの時間軸にもアクセスでき、そこにある魂を「呼び寄せる」のではなく「映し出す」だけなので、ベルベットが自分を喰らってもとくに矛盾は発生しないらしい。

ところであの《復讐鬼》は、厳密にいうともうベルベットの「過去」ではなくなっていて、あったかもしれない「未来」でもあるんだよね。地脈で救われなかった《復讐鬼》は、もう彼女だけの未来へ進んでしまっているのだから、いまのベルベットの過去とは重なりあわないのです。
《復讐鬼》が地脈でフィーを拒絶したのか、フィーが彼女を助けられなかったのか、その世界ではその世界の葛藤や意思があって、彼女が生まれた。
まさにあのシーンが彼らにとって大きな転換点だったのだということがわかるありがたい設定でした。

 

■災禍の顕主と導師
最後まで過去のベルベットのことも諦めなかったスレイ。戦いのあとで、そんな彼に対してベルベットは次のように問いかけます。「一つ聞かせて。あんたは”全”か”個”か。どっちを取る?」
アルトリウスらが使っていた言葉なので、スレイにはよく意味がわかりませんでしたが、「いいから、思ったことを答えなさい」と言うベルベット。その後のやりとりを引用します。

スレイ「思ったことか……。すべての”個”をとれば”全”になる……かな」
ベルベット「はぁ? なにそれ?」
スレイ「あっ……思ったことって言われたから。これじゃあダメかな?」
ベルベット「……いいえ」
ミクリオ「スレイらしいと僕は思うよ」
ライフィセット「やっぱり相当の変人だね」
エドナ「だから言ったでしょ」
スレイ「な、なに? みんなして。そりゃ、無茶なのかもしれないけど」
ベルベット「けど……あたしはいい答えだと思うわ。スレイみたいな導師と出会えてよかった……」
スレイ「オレも、ベルベットと出会えてよかったよ」

言葉が出ない…………;;;;;
ベルベットはずっとスレイのことを「あんた」とか「導師」としか呼んでなかったのですが、たぶんこのときはじめて「スレイ」と呼んで、”個”としての彼を認めてくれた。
そして「スレイに出会えてよかった」ではなく「スレイみたいな導師と出会えてよかった」と言ったのも嬉しいところ。ベルベットは「導師」に対して絶対的な不信感をもっていたけれど、それがスレイと出会って少し変化したというのが、とてもよかった。
他のみんなもスレイをダシにして、仲良くなってて本当に嬉しい;;;;
この会話だけでも、レイズをやる価値があると思うので、みなさんどうぞよろしくおねがいします。

騒動が落ち着いてから、フィーは、エドナにだけ隠し事を話す。この大陸で、アイゼンの手袋を拾ったというのだ。
アイゼンもどこかに具現化されている可能性がある。そのためフィーはイクスたちとは行かず、ここに残って彼を探すという。エドナも他の大陸を調べてみるといい、何かわかったら連絡するよう約束する。

わ~~~~アイゼンフラグ!!!!!さあみんな今から「打」のキラル結晶を集めるのです。。。

 

ところで9章ラストで、「失われた命を復活させたいキャラクターたち」が揃って登場しました(ミトス→マーテル、ディスト→ネビリムなど)が、そういえばだけど、Bのボスであるアルトリウスも彼らと似たような境遇なのに、彼は「セリカを蘇らせたい」とは思っていなかったんだよなと思いました。そうではなくて、この悲劇を生んだ世界を終わらせようとした。

この背景には、ベルセリアやゼスティリアの世界観があると思う。
彼らの世界は、人間は死後運が良ければ聖隷に転生できるけど(魂が同じだけなので蘇るのとはまた話が別だけど)、基本的には死者を復活させる技術とか概念が薄い世界なのかなと改めて思う。災厄、業魔、災禍の顕主……人間を脅かすものが多すぎるわけです。
とくにベルセリアは、業魔病が蔓延していて、「いつ誰が死んでもおかしくない」とみんなが思っていた世界。だからこそ、何を犠牲にしても、大切な人には生きて一緒にいてほしいという想いがベルベットの中で育ったのだと思う。 

もうすぐベルセリア発売から1年ですが、久しぶりの?新規シナリオ、楽しかったです。みなさんレイズもよろしくお願いします。

「テイルズ オブ ベルセリア」バトルメドレー Shout your soul〜Burn your soul & fly〜The awakened soul within the sky

「テイルズ オブ ベルセリア」バトルメドレー Shout your soul〜Burn your soul & fly〜The awakened soul within the sky

  • アーティスト: 東京フィルハーモニー交響楽団
  • 出版社/メーカー: WM Japan
  • 発売日: 2017/03/15
  • メディア: MP3 ダウンロード
  • この商品を含むブログを見る