二月の星のうえ

テイルズが好きです。ほぼネタバレに配慮していない個人的な感想です。

【TOTR】レイズ13章考察。屈折する愛情のゆくえ

テイルズオブザレイズ 13章『裏切りと真実の行方』が配信されましたので感想・考察を書きます。

具現化作業はストップしているので、今回もセールンドのある大陸での話。これまで考えてきたことが現実になり始めてきてつらいです。そしてさらに設定や人間関係が複雑になってきました。しかしながら相変わらずほとんどの情報が信憑性がない(誰が嘘をついてるのかまったくわからない)状態なので、以下に書くことはほとんど想像です。
フィルとファントムの関係がよくわからない方はこちらをお読みください。

今回主にわかったこと

・アイギスの盾(=この世界の果て。虚無との境界)は、具現化作業を行うたびに拡がっている。かつてアイギスが存在していた痕跡を探ると、一番古いものはセールンド付近の小さな島に点在。つまり、セールンド周辺以外の世界は既に消滅していた。
・イスクたちのいたオーデンセも、実は既に消滅しており、別の誰かが具現化して、イクスたちを生み出した可能性がある。
・ファントムの目的は、「時の因果律を歪められる要素」がある特異鏡映点の放出するアニマを使って、おそらく時間の壁を破ることであり、世界を消滅させることとは全く別のもの。しかしその目的のためなら世界が滅んでもいいという倒錯した願いがある様子。
・ファントムには、フィルの記憶がある。その記憶の中で、イクスはビフレスト軍に殺されていた。
・国王デミトリアスとファントムが通じていた。そして安定のダブルスパイ・アルヴィンくん。
・ゲフィオンの素顔はミリーナとそっくりだった。
・フィルは可愛い男の子。(ありがとうございます!!!!)

では順に内容を考察して、それを踏まえて最後に妄想を披露させていただきます。

最初から全部嘘?

前の記事でも何度か書いていましたが、「イクスらは既に死んでいて、今の彼らはそれを具現化した存在に過ぎない」という予想に、キャラクターたちも辿り着いたようです。
やっぱりそうなのかなと思いながら第1章とかを読み直すと、確かにいろいろおかしな部分はあるんですよね。
イクスたちが丘の上からセールンドの街を見ていたときに、兵士に救世軍と間違われて取り囲まれるシーン。「救世軍」のことをまったく知らないイクスたちに、兵士が「お前達、そんな事も知らないのか? 一体、どんな田舎から来たんだ?」と尋ねます。
今読むとこれ、別の時間軸から具現化されたせいでイクスたちが浦島太郎状態になっていたのかなという気もします。細かいけど。

これまで、「イクスの魔鏡」だけがカレイドスコープを動かす核となる唯一無二の鏡だとされていましたが、ファントム(ビクエ)も具現化を行えていたため、「イクスがいなければ具現化はできないのだから、イクス自身が具現化された存在なのはあり得ない」という理屈は通らなくなりました。
ただ「ビクエにも可能」というよりは「ビクエ程の力を持つものが、イクスの魔鏡に似せた魔鏡を使用することで、具現化を行えた」ということのような気がする(9章あたり)。
今回、ディスト配下の救世軍も「イクス魔鏡を渡せ」と言ってきたし、やっぱり重要なのはイクスの魔鏡なんだよね。
じゃあなんでイクスの魔鏡が特別視されるのか?ってのは、妄想とあわせて後述します。

そして「今の自分は偽物なのか?」と自分の存在が疑わしくなったときの、ロイドくんの言葉にちょっと救われました。ああこうやって人は攻略されるんだなあ~っていうのをひしひしと感じさせる

「仮にもしイクスが誰かに造られた存在だとして、それが何か問題なのか?」
「俺たちと同じだろ。俺たちもこの世界に具現化された。でも俺は俺だし、先生は先生だし、ゼロスはゼロスだぜ。イクスはイクス、ミリーナはミリーナ。そうだろ?」
「でも元のイクスって何だ?どんな奴で、何をしていたんだ?」
「でも、そのイクスは俺たちのことを知らないんだろ?」
「じゃあ、別人みたいなもんじゃん」

自分の存在を(偽物だと他の人が言ったとしても)他に代わりがいないたった一人の大事な人として認めてくれる話は、アビスでもけっこうあったなと思い出す。
自分と一緒に過ごした時間を知っているのは、誰でもないあなただけだよっていう。イオンとか、ナタリアとか、ルークとか。

「アイギスの盾の修復」という作業については、文字通り「穴があいたところを修理する・補強する」みたいなイメージだったのですが、実は「壁を拡張」していたようです。
つまり、虚無に呑み込まれつつあった世界を、島ひとつ分(セールンド)でとりあえず食い止めて、そこからイクスの具現化作業によってティルナノーグの領域を押し返していくような感じなのか。
それにしてもなんでオーデンセはずっと穴があいたままなんだろうね。それも理由があると思うけど今はよくわかりません。

ちなみにアイギスの盾の修復にはアニマのエネルギーが必要なのですが、魔鏡戦争を経てそれが枯渇してしまったため、異世界を具現化したときのアニマでこの世界を満たしていくという作業を行っていました。
ところでこの魔鏡戦争の時期があまりはっきりしていないのですが、ガロウズ(30歳)が「魔鏡戦争で左腕を失った」「その後兵士として満足に働けなかった」と言っており、その頃にはすでにゲフィオン(37歳)は宰相となっていたので、10~15年前くらいかなと思う。

ファントムの愛情のゆくえ

今回マークが動けるようになっていますが、その理由は「奴が近くにいるせいか今日の俺は絶好調なんでな」ということでした。
前の記事で書いたけど、やっぱりフィルとファントムは鏡精を共有している可能性がある。ただ厳密には、マークを生み出したのはフィルだけど、アニマの供給はファントムからも可能という感じかな。
とはいえフィルが今どこにいるかはっきりわからないので、「ファントムが近くにいるから動ける」はミスリードで、実はフィルも近くにいるのかもしれない
ビクエの陵に魔鏡だけ置いていなくなっているのも本当に謎なんだよなあ。

さて、これまでよくわからなかったファントムの目的について。
人為的に特異鏡映点を作り出している彼は、それがもつアニマを使って、因果律に干渉する――時間の壁を破る・この世界の過去や未来を具現化することが目的なのではないかとジェイドさんたちが考察しています。
それは、世界を消滅させることとは全く別のもの。そして、歪んでいると言っても差し支えなく、その目的のためなら世界が滅んでもいいとさえ思っている。

あ~最高だなファントム。こういうやつ待ってたよ。
ただ、これって恐らくミリーナ(というかゲフィオン)にも同じこと言えるんだろうね。前も書いたけどミリーナの天秤はたぶん「イクス>世界」で固定されていると思う。イクスのためなら世界ぶっ壊せるくらい歪んでる。
ファントムもミリーナも愛情の持ち方が同じなんだよなあ。。
なお、ジェイドのサブシナリオは超重要なので全員読んでください。

ちなみに特異鏡映点が出現する条件は「もといた世界に、時間の流れに干渉できる要素がある」こと。ファントムはその要素がある世界を意図的に選び、D・D2やP・Sの世界のキャラクターを、特異鏡映点として具現化させています。

そして、「私はあの時のフィルの感情を鮮明に覚えています」と言って回想したファントムの中にある記憶について。
その記憶の中で、イクスはビフレスト軍に殺されたことがミリーナから語られます。ポイントになるのは、「魔鏡兵器に殺された」とか「アイギスの盾の破片の災害で死んだ」と言わず、「軍人に襲撃された」と言っているところです。
恐らく、後述の妄想で語りますが、この頃はまだ魔鏡兵器の研究は主流じゃなかったのだろうと思う。
そしてこれが最初のイクスの死で、これがきっかけでミリーナは復讐の悪魔になっていったんだろうなあ……。

ところでビフレストって、今まで一瞬×3回くらいしか話に出てきていないかと思うので、とりあえず登場する文を書いておきます。
・(ゲフィオンのプロフィール)
一部ではセールンドの敵国、ビフレストから送り込まれたスパイではないかと噂され、反抗勢力が存在する
・(12章ミリーナの夢)
「あれがビフレストの魔鏡兵器……。あの時と同じだわ。許さない……絶対に……」
・(12章元救世軍のルックのイクスたちに対する発言)
「ビフレストの亡霊と手をくんだ破壊者には見えないな」

それで、記憶の中のフィルが、「ミリーナ……。ミリーナ、泣かないで。僕がいるよ。僕がイクスの代わりにミリーナを守るから」と言いますが、正直、これはフィルのほんとの本心だったんだろうなと思う
フィルの心の中の理想や抑圧した感情から性格が形作られる鏡精マークも「俺とお前は、敵同士。ずっと、そうだったろ?」と言っているし、ミリーナと二人で出掛けようとしたときにイクスも誘おうと言われてちょっと残念そうな顔をしたり。
フィルはずっと、イクスじゃなくて自分がミリーナの隣に立ちたいと思っていたのでは? うっ……だから実は、イクスが殺されて、自分とミリーナだけになったとき、彼の隠していた願いが叶ってしまったのではないかと思う。でもそんな醜い願いは、きっとミリーナには打ち明けられなかったし、ミリーナがイクスを具現化すると言い出したときにも何も言えなかったんだろうなあ。(妄想)
だからファントムは「自分の本心を押し殺すからこんなことになる」とも言っているのでは。

そういえばフィルの魔鏡を追いかけていたとき(12章)にわかったように、おそらく鏡士が具現化された場合は、魔鏡も一緒に具現化して、同じ魔鏡が世界に2つあることになるようです。
しかし、ミトスがわざわざ奪いにきたということは、ビクエの鏡はどうやら1つしかない。
あの時ビクエの鏡を持っていたのは王宮にいたファントムではなくフィルだったということだよね?じゃあ王宮にいたビクエは本当にビクエでファントムなのか?とかも怪しい。よく見ると、12章で王宮にいたファントムはなぜかずっと「ファントム?」と表記されているし……。

マークとカノンノの知っているフィルは、「鏡士として最高の力をもつ」「15歳の」「研究室にひきこもる」という印象の少年で、恐らく、その素顔はまだ出ていないはず。
13章冒頭で出てきた黒髪の男の子を仮に「子フィル」とすると、子フィルとファントムの中間くらいの15歳の外見をしたフィリップがいるはずなんだよなあ。それとも子フィルが15歳なんだろうか、だとしたら可愛すぎるし、ファントムがあれで15歳だとしても可愛すぎる。15歳って一体なんなんだ(哲学)

分裂する救世軍

救世軍内でもかなりごちゃごちゃしています。だいたいマーク(フィル)派とファントム派に分かれているようだけど、整理するとこんな感じです。

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巻き込まないようにマークが配慮しているためか、カノンノはマークやチェスターの行動の真意はわからない様子。
また、ディストが反鏡映点の四人(ディスト・ミトス・リヒター・チェスター)を指して四幻将と称しており、アルヴィンはそこに含まれていないことから、アルヴィンのメインでの活動はファントム側で行っていたということかな?
今回、アルヴィンはファントムの指示をうけて北の監獄にイクスたちを向かわせたようでしたが、またさあ~一体どっちの味方なんだよお前は……綺麗なアルヴィンであることを祈る……
でもマークがカノンノだけ行かせて別行動してるってことは、裏の裏を読んでる可能性はあるよね。

さてマーク/ファントムそれぞれの目的は同じ「死んだ人間の復活」のようですが、どうやらアプローチ方法が違うらしい。
とくにファントムの方は、彼自身の目的である「時間の壁を破る」ことに関連していそうだから、「その人が死ぬ前の時間を世界ごと具現化する、この世界の歴史をその人が死ぬ前からやり直す」とかそういうことになるんだろうか。そのために世界が滅んでもいいと思っているくらいだし。

そしてファントムと繋がりがあることが判明したデミトリアス王。
記憶を回想したあとのファントムのセリフ「そうして『お前』は何を手にいれた?何も手に入れられなかった。お前は負け犬なのだよ、フィル」というのは、デミトリアスに向かって言っているわけではなく、自分自身の中のフィルを指しているんだと思っていますが、ゲフィオン37歳とデミトリアス34歳の年齢差が、ミリーナ18歳とフィル15歳と一致するんですよ。この偶然はなんなんだろう。王様はいままで出てきた「フィル」の印象とは全然関係ないんだよなあ。
「リーパ、もうやめたらどうだい。ゲフィオンも悲しむ」という王様の言葉は、まるで近所のよく知ってるおじさんが子供をなだめているかのような印象を受けるので、オーデンセ関係の人なんだろうなとは思うんだけど。

また、デミトリアスという名前は、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』で、主人公カップルに思いを寄せる男性として登場する名前で、なんだかフィルの立場と似ているのも気になるところ。

あとは新しく登場した「メルクリア」という名前について。
「アルヴィンが良くしてくれていた」ということですが、アルヴィンが良くする相手で思い浮かぶのが、寝たきりの女性か可愛い幼女しかいないんですが笑

ゲフィオンという女

ゲフィオンの顔はミリーナとそっくりだということでした。あ~~~やっぱりか……
我々にとってもつらい話になるだろうけど、真実が語られるのを待つしかない……

ミリーナがどの時点でこの事実を知ったのかということについては、12章で「ゲフィオン様、あの『夢』は真実なのですか?」「夢の記憶はそこまで進んだのか。ならば今更尋ねるまでもなかろう。すべて真実だ」という会話もあるように、具現化作業を始めてから見るようになった「滅びの夢」で知っていったのでしょう。
夢はどんどん鮮明になっていき、それが自分自身の「記憶」なのだと理解できる程になってしまったということなのかな。

ちなみに、どちらかがおそらく具現化された存在であるフィルとファントムが鏡精マークを共有しているとすると、ゲフィオンとミリーナもカーリャを共有できるかもしれないのですが、8章でミリーナが救世軍にさらわれたとき、距離が離れるとカーリャが消えてしまいました。
でもその頃は、ちょうどゲフィオンは極秘任務でどこにいるかわからなくなっていた時期なんですよ。たぶんセールンドからも離れていた。だから、ミリーナからもゲフィオンからも離れたカーリャは消えてしまい、ミリーナに近付いたときにまた復活できたということなんだと思います。
鏡精と鏡士との距離に関しては、マークのこともそうだし、地味に矛盾のないようよく練られているなあと思います。すごい。

また、鏡士としてのイクスの家系が得意とするのは、無から有を生む創造の魔鏡術。ミリーナは有から有を生む想像の魔鏡術を得意としていることがシナリオ中で描かれていますが、フィルの術の特徴にはまだ言及されていません。
今は虚無の研究をしているようだし、二人とは違う「有→無」みたいな術が得意だとすると、魔鏡兵器としてのカレイドスコープの特性(対象のアニマを抜き取り消滅させる)と一致すると思うんだよね。ミリーナとともにその開発に関わった研究者だったとしてもおかしくないし。


では。以上のことを踏まえた、妄想です。

この世界の真実について、現時点でこんな感じなのを妄想しています。

セールンドとビフレストは敵対する国同士
→ビフレストは、魔鏡技術を兵器に利用するため、鏡士の多い島オーデンセを襲撃し、鏡士を拉致
→その際にイクスが殺される
→ミリーナは逃げ延びて(遠くに引っ越していた)フィルのもとへ行く
→ビフレスト絶対許さない滅ぼす……!と決意
→ミリーナとフィルでビフレストへの復讐を計画

なお、ビフレストがオーデンセを襲撃する理由として、ビフレストに「鏡士を奪う」目的があったのかもと思う。鏡士は基本的にはオーデンセ出身だから、おそらくビフレストにはいないためです。(イクス殺されてるけど)

ミリーナたち十代の少年少女にすぐに国を相手にどうこうできる力もなかったはずなので、数年かけて復讐を準備・実行したのかなと思います。
それとゲフィオンが救世軍から「ビフレストのスパイ」「ビフレストの亡霊」と呼ばれているのは、「ビフレストの技術を持ち込んだ」ということに起因するのでは?と思うので、「ミリーナはビフレストに研究者として潜入して、魔鏡兵器の開発に携わり、最終的にはその技術を盗んでセールンドに戻り、フィルとともに殺戮兵器カレイドスコープを開発した」とかありそう。

その後、ミリーナとフィルでビフレストへの攻撃を行っていた(このへんが魔鏡戦争か?)が、カレイドスコープの乱用によりアニマが分離しやすい世界になってしまった。
みんな消えていき、ミリーナの故郷オーデンセも光る砂になって消失したとき、イクスとの思い出も消えて自分が以前と違う悪魔のような人間になってしまったことに気付いてはじめて後悔した。
そこで、世界の滅びを食い止めるため、アイギス計画を始動した。みたいな。

さらに妄想ですが、死んだイクスの魔鏡をミリーナは回収していて、その「無→有」の力をカレスコの核にしてしまったんじゃないかな。だからイクス魔鏡がないと具現化が出来なかったんじゃないかと思う。
そして先に書いたフィルの力が「有→無」だとすると、兵器としてのカレスコにはそっちが利用されていたのかな。

ミリーナたちはアイギス計画に係る研究を進めて、その過程で過去のオーデンセ(イクス)の具現化を試みたが、失敗したのではないでしょうか。
(その際、二度目のイクスの死を体験したので、「でも同じ思いを3度味わうのは怖いわ」 というオープニングのモノローグに繋がる。)

※ちなみにその時の失敗作の具現化イクスくんは、実は今も生きていて、ラストダンジョン後に惑星譜術の触媒をあつめて雪山にいくと戦えるよ!(どこのネ○○ム先生)(嘘です)

結局のところ、ミリーナは「世界より自分よりイクスが大事」だし、フィルも「世界よりミリーナが大事」だったという幼馴染み同士の愛情を行き先がこじれたお話なのかなとも思い始めてきました。
運営さん、いつも素敵な物語をありがとうございます。続きを楽しみにしています。スパーダくんの参戦もお待ちしています。
さ~ユリウス兄さんの魔鏡出るまでまわしてくるか~