二月の星のうえ

テイルズが好きです。ほぼネタバレに配慮していない個人的な感想です。

【TOtR】レイズ3部13章考察。あなただけしか知らない感情を否定しないで

テイルズオブザレイズ 3部第13章『決意秘める光の少年』が配信されましたので感想です。
イオン様ユアン様実装おめでとうございます!!レイズで操作したいとずっと思っていた二人が来てくれてほんとに嬉しいです。またひとつ夢が叶ってしまった……古代英雄イベントも最高でした。あらゆる面から撃ち抜かれて泣くしかなかった~~ユアマー~ロイドとミトス~神子んび~
ちなみにまだ実装されていない私の推しはピオニー陛下とウィンガルです。よろしくお願いします!

描く旅の終着点

「必ず決着は付けるよ。今度こそ世界の為、イクスやミリーナの為、それから……僕自身の為にも」
「マーク。僕はね、いつだって本当は自分自身のためだけにしか動いてなかったんだよ」

やっとフィルからその言葉が出たな~~~と思いました。
フィルは「イクスになりたかった」し、これまでずっとゲフィオンやイクスのために命を削って尽くしてきた。だからフィルには「自分」というものがない、とここでも散々言ってきました。
でもゲフィオンに尽くしてきたのも、彼女に尽くすことを望むフィル自身のためだし、見返りもたぶん求めてはいただろうし、突き詰めれば本当は全部「自分のため」にしてたことなんだと思います。
今まではそれを「イクスやミリーナのため」とすり替えて綺麗な動機にしちゃってたけど、本当は自分のためだったと認めて言葉にできたのすごい成長だなと思いました。やっと向き合えたなと。
ミリーナたちのために世界を救いたいんじゃなくて、本当は「それをやり遂げる自分」になりたかったんでは、と思う。だって「イクスなら」そうしたかもしれないから。彼はイクスに憧れていたんだから。フィルの憧れたイクスならきっと全部救ってしまうだろうから。イクスならやるだろうということを自分もやりたい――それも立派な「自分だけの感情」だと思います。
これはベルセリアで習ったことだけど、誰かのためじゃなくて自分のためにやるって決められたら、もう折れることはない。だけどどんなに苦しくて悲しくても、やり遂げるしかなくなる。フィルもやっと覚悟が出来たんだなと思います。長かった……

しかしフィリップはどうやって決着をつけるつもりなんでしょうか。命を削って死ぬまでイクミリの役に立つなんてことはもうしないと思うけど……。
1部ラストで人体万華鏡になったイクスの行動は、ミリーナの代わりに犠牲になったようにみえて、その実、仲間が必ず解決してくれるだろうと信じた時間稼ぎであり、自己犠牲ではなく自分も最後には助かるつもりであり、あの場面での最善手でした。
フィルは自己犠牲ではない形で着地できるんでしょうか。いやこれで自己犠牲で終わったらまじで幻滅するからそれはないと思うけど、どうしたら"死"以外で決着できるのか、フィリップ自身が幸せになれるのかが全然わからないもんで……

今章のフィルは体にかなりの負担がかかる転送術を連続して行い倒れてしまう、という自己犠牲まがいのことをやっていましたがこれはまあ状況的に仕方がなかったかなと思います。
マークがフィルを止めなかったのはフィルの意思を尊重したからですが、今回は他に手がなかったし、消耗はするけど死にはしない、という状況だった。でも本当にフィルが死にそうになったら、他のことがどうなろうとフィルの意思に関わらずマークは彼を止めるのでは?と思う。
マークは「あんたが俺のどうしても奪われたくない物に手をかけるってんなら、その時は全力で阻止するさ。あんた同様【どんな手】を使ってでもな」と言っています。マークの奪われたくないものとはフィリップのことだろうから、マークはどんな手だろうと、フィルの意思に反していようと、他の誰かが死んでも、フィルが死ぬことだけは絶対に止めようとすると思います。
フィリップもそれをわかっているはずだから、(最終的に死ぬつもりなら)その場面が来たらマークを切り離すんじゃないかな、と思います。
そしてそれをマークもわかっているから、俺を切り離すなよ勝手に死ぬなよ、と常に釘を刺している……そんなふうに見えます。

話は変わるけど、「フィリップがイクスを刺しオーデンセ島から出ていったあと、一度も島に戻っていなかった」ことが判明しました。三人目イクスは「フィルが引っ越したあと一年に一度くらいしか会えなかった」と言っていたから刺した後も定期的に帰ってたのかと思ってたけど、それも記憶が改ざんされてるの……?
でもフィルは「里帰りをやめた」とも言っている。う~んつまり病気の治療のために王都へ引っ越したあと一年に一度は里帰りしていて里帰り中にピクニックに行ってイクスを刺してその後は一度も島に戻らなかった、ということなの?いやおかしいなやっぱ記憶がおかしいんかな……

また、「イクスから手紙が来ていたが読んでいなかった」ということでしたが、恐らくそこにプロポーズのことが書かれていたのでは?と思う。
だとしたらフィリップは「知らされていなかった」のではなく、自分で言っていたとおりその現実から逃げ続けて向き合おうとしなかったんだね。
イクスがプロポーズの件をフィルに知らせていないとは思えなくていまいち腑に落ちてなかったんだけど、「イクスは知らせていたのにフィルが知ろうとせず逃げていた」ならほんと解釈一致だしそういうところほんとフィルお前らしいな~~~~!!!!って思えて嬉しい笑
ゲフィオンが(いつでも伝えられる状況にありながら)彼にプロポーズの件について伝えていなかったという事実は変わらないし、イクスの手紙には何も書かれていなかったかもしれないけど、なんにせよ、フィリップ自身が知ろうとせずあらゆることから逃げ続けていた、そういう姿勢だったということがわかってすっきりしました。

恩讐の彼方に

メルクリアって義理堅いというか真面目なんだな……という回でした。リヒターやルキウスに諭される前だったらワガママなだけなので助けられたことに恩を感じていなかったかもしれませんが、今は敵だろうと仇だろうときっちり借りは返そうとしてくれます。ほんと成長してるな~

しかしゲフィオンにメルクリアを守る意思があったのはなぜなんでしょう。
ただの情けなのか、何かに利用するためなのか。ネヴァンの言い方だとただ単に救いたいだけのようだったけれど、なぜわざわざ自分の首をとりにくるような相手を生かしておくんだろう。
終戦後メルクリアが人質としてセールンドに連れてこられたときのゲフィオンの記憶は、あるはずなのに、ミリーナに受け継がれていません。そのへんと関係があるんでしょうか?

あなただけの感情を否定しない

イクスとフィリップがいつまでももだもだしているのでついにミリーナから問い詰められてしまいました。
イクスの「自分の感情を疑ったことはないか」という問いに即「あるわ」と答えたミリーナですが、彼女にはイクスとは別の自分の感情に対する違和感(ゲフィオンの記憶を受け継いだことによる)があったのだから前からそう考えていたのも当然っちゃ当然なんだけども、「二人目の自分をつくるならあらかじめイクスが好きな気持ちをインプットしておく」ことさえも予想済み、むしろそうするだろうと確信していたのほんとさすがミリーナだなと思いました。
しかし、同じように記憶や感情を操作されているのに、イクスとミリーナでは自身の感情の受け入れ方がずいぶん違いますね。
ミリーナは迷いなく「今のイクスを好きな気持ちは今の私の感情」と言いきったけど、もともとミリーナは、イクス全肯定状態ではないにしろ、プロポーズを受け入れるくらいにはイクスのことが好きだったので、今の感情にそこまで乖離はないと言えるし、ゲフィオンの記憶を受け継いでいるおかげで一人目と自分とでどのくらい乖離があるのかを理解できているのかもしれません。
でもイクスは、一人目がこんなに心配性ではなかった事実に驚き、一人目がミリーナにプロポーズしていた事実にも驚く。「一人目の俺ってそうだったのか?」と、毎回驚くんです。

一人目はもう亡くなっておりその性格も感情も記憶も、今のイクスには正確に受け継がれていない(むしろ捻じ曲げられていることをイクスは知っている)。フィルもゲフィオンも一人目について全てを知っているわけでもない。一人目はもうどこにもいない。
イクスは一人目のことを何にも知らないしもう知ることもできないから、一人目と自分がどこまで同じでどこから違うのか、どれが「自分」なのかの境界を引くことが出来ないから、「自分の感情」に自信を持てないのだと思います。
この問題はイクスが「一人目」に会えれば解決する気がするけど、出来ない場合はどうやって折り合いをつければいいんだろう。

テイルズオブジアビスでは、ティアがルークにこんなことを言っています。

「あなたはあなただけの人生を生きてる。あなただけしか知らない体験、あなただけしか知らない感情。それを否定しないで」

もうこれが答えでいいのではってくらいぴったりな言葉じゃないですか?
たとえ記憶や感情が操作されていたのだとしても、もうイクスだけの人生は始まっていて、何かに心動かされる瞬間をたくさん経験していて。それはもうイクスだけのもの。今のイクスだけが知る鮮やかな体験なのだ、と。とにかくそのようにして自分の感情を大事にしていければいいんだけど、切り替えられるターニングポイントがそのうち訪れるのかな~?

ところでこの状況は鏡精たちもまったく同じで、ネヴァンもマークも主人の影響を受けて、イクスやミリーナに好意を抱いています。でも彼らはそれを認識しつつどうにかこうにか折り合いをつけてとりあえず受け入れているという感じ。
マークにカーリャが言ったように「ミリーナ様は最高のマスターですからマークが好きになるのは当然です。フィリップさまとかどうでもいいです。好きなものは好きでいいんですよ」。時間が経ってもその感情が今も心にあるというのは、誰かの影響を受けたからじゃなくて自分で選んだから、ということ。それに気付けて受け入れられれば、まあ上手くはやっていけるんでしょうけど、理屈は理解できてもそこは感情の話なので難しいところではありますね。

魔眼のバロールとは

レイズは北欧神話が元ネタの名詞(ゲフィオン、セールンド、ビフレスト、フィンブルヴェトルなど)が多いのですが、今回登場した『バロール』はケルト神話なので、あらためて調べてみたらケルト神話にも結構関連するものがありましたので参考までに。

何が出来るのかを知った時に知る儚さ

イオン様がついに参戦してくれましたが、「味方がいないから僕も戦わざるを得なかった」とはいえ、魔鏡片を埋め込んで常時ローレライ精霊装状態にしていたりなんだりと、こちらに合流できるまで本当に無茶をしていたんだな、と思いました。
精神的にもかなり無茶してるな、と思ったのが、被験者イオンの真似をしていたシーンです。
原作では、死んだイオン様の真似をするシンクを見て、ルークは「イオンは誰かの代わりは嫌だと言っていた。俺もアッシュの代わりだなんて、本当は嫌だ……と思う。なのにあいつは、どうしてあんな風に、あっさりとイオンを演じて……」「俺には理解できない」と物凄いショックを受けていました。だから今回イオン様が被験者の真似をしたのも、本心では相当つらかったんでは、と思います。もちろんイオンはずっとオリジナルイオンの代わりとしてその真似をして生きていたんだけれど、代わりではなくイオン個人として生きたいと思った後で、しかもオリジナル本来の性格を真似るのは、きっと嫌だったと思います。
なのにそれを演じたということは、やっぱりなりふり構っていられなかったんでしょうね。本当に他に仲間がいなくて自分がやるしかない状況だったんだな。レイズのイオン様は本当に無茶して頑張って、みんなのところに追いついてきてくれたんですね。

ところで、ダアト式譜術は攻略本に「譜術を組み込んだ体術」との記載があり、外伝漫画ではオリジナルイオンがワンパンでレプリカを殺したりしていましたが、ダアト式譜術があそこまで激重のバリバリ格闘技だとは思っていなかったのでとても驚きました。
原作中で確認できるダアト式譜術は、チーグルの森でイオン様が地面に譜陣を展開した攻撃とか、シンクがやったカースロットくらいで、確かに打ち込むような動作はあるけどやはり"術"がメインであるようなイメージでした。
なので私は、シンクの身体能力の高さとか、武器ではなく身体をつかった戦闘スタイルは、シンクが努力して独自に獲得したものだと思っていました。被験者にもイオン様にもない、シンクの誇れる個性なんだと。
でもイオン様があそこまで動けて、さらに被験者はそれよりも格上みたいなので、シンクの戦闘スタイルって特別なものではなくまともなダアト式譜術(物理)ですらないまさに劣化版という感じだったんだなーって、思ってしまった。もちろん俊敏性なんかはシンク優位かもしれないしすべてが負けているわけではないと思うけど、シンクの技や術は、彼の個性やアイデンティティなんかじゃ全然なかった、劣化コピーくらいだったんでしょうか、もうねなんかそれを突き付けられた気がしてつらかったです。発売から14年経ってもこんな新しい地獄を目の当たりにできるなんて本当にとんでもねえ作品だなアビスは……

イオン様も、体力さえあればあれだけ動けるのに、原作では守られてるだけだったの、かなり歯がゆかったし悔しかっただろうなと思います。だから今みんなと肩を並べて戦えているのが、ほんとうに夢みたいなことなんだろうな。
とくにイオン様は具現化時期の違いから、仲間たちが「イオンが死んだ未来」の時間から来ていることを察している(第二スキットでは、自分がどのように死んだのかすら正確に察している)ので、彼にとってより一層「確実にありえなかった未来」を生きています。
これは夢でいつか消える幻想なのかもしれない。でも今イオン様はまぎれもなくここにいる。イオン様と一緒に戦える奇跡をありがとうレイズくん。

さて、ローレライの精霊装についてハロルドから「イオンはレプリカだからローレライと構成が似ている。他の人間なら拒絶反応で倒れる」と説明があったとき、ジェイドお得意の無言(笑)がありましたが、あれはルークやアッシュもローレライの精霊装ができるのでは、と考えていたんだろうな……ローレライと音素振動数が一致しているルークとアッシュは「構成が似ている」どころじゃない気がするんだけどどうなんだろう、そして精霊装できるとして何か不都合があるんですかジェイドその無言は…

あと被験者はローレライを召喚できないのに、なぜレプリカイオンとリベラはできるのか?が結構謎です。レプリカにならできるんだとしたら、あの場では(本人に配慮してか)レプリカとして挙げられなかったシンクにも可能なんでしょうか?なら被験者がシンクとの心核入れ替えを要求しているのは、その点での利用価値があるため??

また、「あの死体は被験者のもの」と断定されましたが、能力的(筋力ゴリラだし)にもメタ的にもそんな簡単に死ぬはずがないのでみえみえですがミスリードなんでしょう。
恐らくは、心核だけの存在になったか、あるいは、すでに他人と心核の入れ替えを完了しており、オリジナルイオンの肉体は不要になったか、だと思います。
ただ、仮に心核だけの状態になっているとして、アリエッタがその心核を持って逃亡しているのだとしても、「シンクとの心核入れ替え」を望んでいることをオリイオ様はアリエッタに伝えるつもりはないみたいだったので、アリエッタ単独ではどうにもならない状況です。なので心核入れ替えをやってくれる仲間が必要になるんですが、いまのところ頼れそうなのがディストくらいしかいない気がするんだよな~~でもそもそもディストがオリイオを具現化したのになんでディストに頼まないでハロルドに強要していたのかがよくわかりません。
とりあえずアリエッタには「僕の心核を持ってディスト(あるいは別の人物)のところへ行くんだ」くらいの命令をして、適当な死体(あるいは自分の死体)を自分にみせかけて置いていったのかな……
レプリカイオン様とシンクの上位互換であるオリジナルイオンがこんなところで退場するとは到底思えないよね。あいかわらず姿が見えず、死んだかどうかも定かでないのがほんと怖いですね。