二月の星のうえ

テイルズが好きです。ほぼネタバレに配慮していない個人的な感想です。

【TOtR】レイズ3部終章(前編)考察。親愛なるフィリップへ

テイルズオブザレイズ 3部終章『亡国の主 呪い断つ銀腕』が配信されましたので感想です。

イクスからの手紙を泣きながら読むフィルのシーン、情景がありありと目に浮かんできてすごく切なかったです。
フィリップは以前(時系列的には未来かもしれんが)マークに怒鳴られて泣くシーンがあったので、30過ぎたフィルおじさんが泣くのもマークにとってはたぶんめずらしいことじゃないんだろうけど、長年フィルを見てきたマークでも引くほどボロボロ泣いてたんだろうなー……と思いました。

親愛なるフィリップへ

イクスが送っていた手紙は、イクスからフィルへの愛そのものでした。
その愛の大きさが「かなりの量の手紙」という目に見える数値になっていたことにハッとさせられたし、一方のフィルは故郷から離れた地へ逃避し手紙も読まなかった、という状況に、物理的にも時間的にも距離をとり背を向け続けていたフィルの人生がよく表れているなと思いました。
フィルはミリーナが好きで、ミリーナに好かれているイクスに嫉妬すると同時に憧れていて大好きだった。だから大好きな二人にも自分を好きになって欲しかった。
こんな単純で子どもみたいな願いだったんだよね、最初は。それを思い出して口に出して自分で認めることができた、それだけのことで、フィルが3rdイクスを自分勝手な理由で捏造しつくりだした罪が消えたわけではないけれど、罪滅ぼしと世界を救うためだけに生き長らえる気でいるフィルがこれから前を向いて【自分のため】に生きるために、1stイクスと向き合う儀式は絶対に必要なことでした。
本当ならもっとはやく手紙を読んで1stイクスの想いを受け取っていればよかったんだろうけど、もし読んでいたら、今のイクスが生まれることはなかったんだと思うと皮肉ですね……。
今ならミリーナにもイクスにも勇気を出して好きだと言えそうなのに、もう二人には声は届かない。「フィリップ・レストンが『こう』なった場所」である、水鏡の森から続く精霊の封印地へ、彼は今どんな気持ちで足を踏み入れるんでしょうか……。

ところで3rdイクスの「一緒に世界を守ろう」って気持ちはちゃんとフィルに伝わったかなあ。
その言葉で思い出したんですが、レイズのアプリを初回ダウンロードしたときに流れるゲフィオンのモノローグ(参照)は、イクスに向けた「世界を――救って」という言葉で締めくくられていたんですよね。
ゲフィオンの「イクスを甦らせたい」という願いを叶えて具現化されたのが二人目のイクスでしたが、そのイクスはアイギスの盾が壊された被害で死んでしまいました。三人目のイクスはその後継にあたるから「イクスを甦らせたい」という願いを受けた存在でありますがそれと同時に、「異世界具現化をするのにイクスの魔鏡がもう一枚必要だったため具現化された存在」でもあるので、3rdはとくに「世界を救いたい」という願いから生まれた存在ともいえます。だから、ゲフィオンから「世界を救ってほしい」と託された3rdイクスが、その当初の願いを忘れかけていたフィルに「一緒に世界を救おう」って言うの、とても意味があることだったなと思います。
1stイクスは幼いフィルが抱いていた本当の気持ちを、3rdイクスは大人になったフィルが罪滅ぼしのためだけではなく「世界を救いたい」と望んでいた気持ちを、大事なことを思い出させてくれたんだなと思いました。

で、フィリップの周りの人の感情がどんどん清算され決着ついていくなか、ゲフィオンだけは沈黙しているんですけど、フィルがここまでややこしくなったそもそもの起点が「ミリーナが好きだった」という感情なのでゲフィオン様からもはやく一言欲しいな……(怖い)

あと、自分で気付いて感動した

マークの具現化時期について

マークの今回の発言「ジュニアくらいの歳の頃から一緒にいる」から考えると、ジュニアは15歳くらいの姿なので、マークはだいたい20年前くらいに初めて具現化されたようです。
※マークの公式プロフィールの「23歳」は外見年齢じゃなくてほんとの年齢だとしてもそこまで矛盾はなさそうですが実際どっちなのかはよくわかりません。

また、マークは「最初のイクスとやら」と言っていて、1stに会ったことがないような口ぶりなので、具現化時期はフィルがオーデンセ島を出たあとかなと思いました。
なのでマークは1stイクスと直接会ったことはなく、ミリーナやネヴァンとはじめて会ったのもイクスが殺された後、ミリーナが王都へやってきてからのことになると思います。
ということは、マークはオーデンセの三人が島でどんなふうに過ごしていたか見てはいないんですよね。鏡精は鏡士の感情の影響を受けるけれど記憶を共有するわけではありません。マークは、フィルの影響を受けて形成された自分の感情や、フィルの性格、思い出話やらなんかから、幼馴染たちの風景を想像したんでしょうか??
もしそうならさらに言えばマークが初めて「イクス」に会ったのは、メインシナリオ冒頭で炎の雨が降ったオーデンセから海に投げ出されたイクスたちを助けたとき、あの時だったのではないでしょうか
恐らくマークは「ミリーナが好き」というフィルの感情の影響を受けているのと同様に「イクスに憧れている」という気持ちも持っていたはずです。だから、話に聞くイクスとも違う、自分の中にある憧れの対象とは思えない臆病なイクスを見て、1部ではあんなにイクスにつっかかってきたのかな、とあらためて思いました。

イクス↔フィルの関係について

前々から言っているように、やはりマークにはフィルの1stイクスへの憧れが投影されていたんですね。(なんかこの件については公式で明言されることはないだろうなと油断してたからビビった)

鏡精は、鏡士の心の中の理想や抑圧してる感情などが干渉して形成されます。鏡士の「なりたい姿」といわれることもあります。それは恐らく鏡士の常識でフィルも知っていたはずですが、フィルの理想もなりたい姿も「イクス」なんだから自分が鏡精つくったら当然イクスに似るって考えていなかったのかな?鏡精の性格は鏡士自身でコントロールできるようなものじゃないと思うのに、マークに指摘されるまで無自覚だったようなので驚きました。
「マークをイクスの代わりだと思ったことはない」のは本当だろうけど、自分の鏡精がどんな人物になるかくらい(あれだけ拗らせた感情があるんだから)具現化する前から分かるのでは、と思うんですが。
もしかしたら、フィルに1stイクスを思い出させないためにマークは意図して「1stイクスっぽくない」言動をしていたのかも?会ったこともないのに出来るかどうかはわかりませんが
それかまあ単純に、影響を与えているであろう誰かの人格だとかそんなこと抜きに、ただフィルはマークをマークとして受け入れていただけだったのかもね。

また、今回のフィルが、自分の気持ちを知られるのを怖がったりフラれて傷付くのを怖がったり二人に嫌われたかもと怖がったり……とにかく臆病だったんだけど、この臆病さに既視感ありませんでしたか?シナリオ序盤の3rdイクスの臆病なほどの慎重さ、なんとなく似てません?
具現化イクスの臆病さは、そうなるように記憶を改ざんされたせいもあるけど、フィルの性格の影響も受けてたのでは?と思いました。フィルの記憶を経由した具現化なので、フィル本人の性格を受け継いでしてしまっていてもおかしくないかな~、と思います。
1stイクスは「頭がよくて目的に向かって一直線に進んでいく強さがあるフィルが羨ましくて憧れていた」と手紙に書いていました。1stは頭いいキャラという感じではないし自分で努力家ではないとも言っているけど、3rdは頭がよくて真面目な努力家です。この3rdイクスの要素は、まんま1stが語ったフィルの良いところじゃないですか。

なんかそうなってくるとお互いの光を反射し合って大変なことになってるんだよねイクス↔フィルの関係。
フィルはイクスに憧れていてイクスになりたくてマークにイクスが投影されてて、具現化イクスにはフィルが投影されてる可能性があって、1stイクスはフィルに憧れていて…
もし1stイクスが鏡精をつくっていたら、きっとフィルによく似ていたんだろうなと思います。だってイクスはフィルのこと憧れていて好きだったんだもんね。

レプリカ分史ニーベルングについても書きました。

来月の終章後編も楽しみです。

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